沿線お役立ちコラム

【前編】「九条ぶらり旅」ツアー 水都大阪の土木遺産や歴史遺産を堪能@西九条

九条ぶらり旅ツアーに出発

チアフルライターのやまさんです。

町歩きツアーの良いところは、個人的に興味のある場所だけでなく、その周辺の一般には知られていない面白スポットを短時間内で体系的に案内してもらえる点にあります。

 

今回、やまさんは前々から興味があった安治川隧道周辺を巡るツアーに参加してきました。阪神西九条駅といえば、ユニバーサルスタジオジャパンへ向かうJRゆめ咲線への乗換駅としてのほうが有名ではないでしょうか。ところがどうして、九条という場所は面白い歴史的遺産がたくさんある興味深い場所でした。では、早速ツアーに出かけましょう。

9:30 阪神西九条駅集合

今回九条を案内してくださるのは「たけちゃん」。事前に添付メールでもらっていた旅程表の似顔絵とそっくりだったのですぐにわかりました。なんとチアフルライター仲間のお一人や、他の町歩きツアーでよく一緒になる方も参加されていましたよ。

安治川隧道(安治川トンネル)

安治川の川底に1944年、日本初の沈埋工法による「安治川隧道」が掘られました。此花区と西区を繋ぐ延長80.6メートル、有効幅員11.4メートル、深さ16.94メートルの全国でも大変珍しい川底トンネルです。

 

普通の橋にしなかったのは、建設されたのが戦時中であったため空襲の標的になるのを避けるためと、当時の日本には大型船が行き来する安治川に高い橋脚を架ける技術がなかったためなのだそうです。昭和30年代までは車両用のエレベーター付きトンネルも稼働していましたが、1963年に国道43号線安治川大橋が開通したこととトンネルの渋滞、トンネル内の排気ガス問題などから1977年に車両用トンネルは閉鎖されました。

 

安治川トンネルができる以前、ここには源兵衛渡(げんぺいわたし)と呼ばれる渡船場があったそうで、今も「源兵衛渡」という交差点の名前に当時の面影が残されています。

写真:これがトンネルの入口?とてもそうは見えない外観です。左側の2つの大きなシャッターが今は閉鎖された車両用エレベーター、右側の歩行者・自転車用エレベーターと歩行者用階段になっています。

写真:現在も安治川トンネルは多くの通勤通学者、買い物客にとってなくてはならない生活道路のようです。というのも、ここから安治川大橋まで川下へ大きく迂回しなければならないためトンネルがないとやはり不便なのですね。自転車に乗った人が次から次へとエレベーターに押し寄せてきました。トンネルの出入り口には利用客の安全のため、警備員さんがついています。

 

トンネルを渡った先には「キララ九条」と呼ばれる商店街が。今回は立ち寄りませんでしたが、そのうち訪れてみたい場所です。キララ九条を抜けてしばらく歩いたところ、安治川から見て東南の方向に松島新地という場所があり、明治・大正時代には遊郭として栄えたそうです。

写真:この建物は大正時代に建てられたものが今でも現役で使用されているのだそう。ツアー客のお一人が「大正時代に流行した工法・デザインの建築なのだ」と説明してくださいました。

河村瑞賢の碑

安治川はその昔暴れ川だったそうで、地域住民は何度も水害に悩まされました。貞享元年(1684年)幕府の命により政商河村瑞賢による治水工事が行われ、その際「安らかに治まるように」と安治川と改名されたそうです。

 

安治川のほか大川、堂島川、曽根崎川、堀江川、木津川の整備も河村氏により行われました。さらに、河村瑞賢は檜垣廻船・樽廻船の行き来した東廻り航路、北前船が行き来した西廻り航路を整備し、海運の発展に尽力しました。日本にとっては、まさに港湾・航路開拓の大恩人です。

写真:碑の横のこの道路は元々川だったそう。

写真:お客さんの一人が土木に詳しい方らしく「川と道路の境目には必ずこういう印がついている」と説明してくれました。

【後編】「九条ぶらり旅」ツアー 水都大阪の土木遺産や歴史遺産を堪能@西九条