深江探検シリーズ第4弾は、市場のセリ見学レポート!
こんにちは。
チアフルライターのやまさんです。
阪神深江駅から徒歩約15分の場所にある神戸市中央卸売市場東部市場(以下東部市場)は、今年で開設50周年、花(か)き(花や植物)市場は45周年を迎えます。
やまさんは神戸市経済観光局にセリの見学取材を申し込み、晴れて許可をいただきました。
しかし問題はセリの開始時間。
始発電車でも間に合わない超早朝なのです。
車もバイクも自転車さえも持っていない生粋の電車ユーザーやまさんは、今回特別にチアフルライター通信編集部の林さんの車でピックアップしていただき、一路深江浜町を目指しました。
午前4:30に東部市場に到着。
今回市場を案内してくださる神戸市経済観光局の定森さんに東部市場の成り立ちや業務内容などのお話を伺いつつ、卸売場棟奥の水産物セリ場へと移動します。
東部市場の取扱商品は水産、青果、花きの3種類。
今回は水産部と花き部のセリを見学させていただくことになりました。
これぞ市場の醍醐味! 水産部のセリ
午前4:40、場内に鳴り響くサイレンの音とともに卸業者と仲卸業者によるバトルが開始されました。
初めてセリを見るやまさんには業者さんたちが何を喋っているのかさっぱり理解できません。
定森さんによると仲卸業者さんたちは帽子などでライバル業者に見えないように手形(指で作るサイン、「手指し」とも)で金額を提示するのだそう。
落札が成立すると卸売業者はせり落とした内容を書き込んだ札をトロ箱に投げ込みます。
手指し金額が同額の場合はジャンケンで。
取材した日は水揚げ量が少なく、開始からわずか7分でセリは終了。
(多いときはセリ場に何メートルにも渡るトロ箱の列ができるとか)
せり落とされた商品は「ねこ」と呼ばれる台車で市場内にある仲卸業者の店舗に運ばれ、さばかれます。
店舗に並べられる商品は、全てがセリで入手したものではなく、卸売業者から個別に仕入れるものも多いそうです。
東部市場でセリにかけられる商品には六甲アイランド沖など近海で獲れたものも。
松正水産の加工場を見学
セリ会場のすぐそばにある仲卸売業者、松正水産さんの営業所兼加工場を見学させていただきました。
社屋の1階にはいくつも生け簀(いけす)があり、中ではたくさんの魚が泳いでいました。
松正水産の営業所では一般のお客さんの見学を受け付けていて、週末にはバーベキューなどもやるので気軽に来てくださいね、とのことでした。
ぐるりと廻るだけでも楽しい仲卸売場棟
仲卸売場棟は取扱商品の種類によって壁面の色が塗り分けられています。
水色は生鮮水産物と塩干(えんかん)と呼ばれる干物、ピンクは果物、黄緑は野菜といった具合です。
様々な旬の食材が並んでおり、見ているだけで楽しいです。
通路が狭いのでリフトカーではなく「ねこ」が大活躍。
新設された加工場・冷蔵庫棟で商品の温度管理と移動がより便利に
写真:冷凍庫棟の中では水産物が冷凍保存されています。
この棟は一般人立入禁止ですが、今回特別に案内していただきました。
平成29年に「コンパクトで時代に適合した機動性のある卸売市場の実現」を目指し、次の3点を特徴とする加工場・冷蔵庫棟が新設されました。
① 施設のコンパクト化
離れた場所にあり行き来が不便だった仲卸売場棟と冷蔵庫棟を直結し一本化。
② コールドチェーンの推進・加工機能の強化
コールドチェーンとは日本語で「低温物流体系」といい、低温管理が必要な製品を冷蔵または冷凍した状態で最終消費地まで配送する方式のことです。
冷凍食品、生鮮食品、水産物などの食品以外に医薬品、化学薬品、血液パックなどの医療品輸送にも利用されています。
仲卸売場棟と加工棟・冷蔵庫棟が直結、さらに棟の側面に設置された「ドックシェルター」と呼ばれる屋根付きのドアから商品をトラックに直接搬入・搬出できることで、商品の温度管理がしやすく、また劣化を防ぐことができます。
③ スマートマーケット
加工場・冷蔵庫棟の屋上に太陽光パネルを設置し、市場内で使われる電気のクリーンエネルギー化を推進。
屋上には緑を植え市場の緑化を図りました。
棟内の共用部の照明をLED化し電力消費量を抑え、また電力量計をデジタル化し使用量をデータとしてモニタリングしやすくしました。
結果、東部市場がより機能性の高い、環境にも配慮された市場として生まれ変わりました。
こちらは人が出入りする冷凍庫。業者ごとにケージが分かれています。