沿線お役立ちコラム

【前編】夏は親子でボート体験! 魚崎とHAT神戸でKOBEボート教室開催

魚崎運河でボート教室体験

神戸在住、チアフルライターのやまさんです。毎年7月~9月の間、魚崎駅の東南にある魚崎運河、そしてHAT神戸の西端にあたる生田川河口で「KOBEボート教室」が開催されています。数年前に区役所で偶然チラシを見てずっと参加したいと思っていたやまさん、今回ついにその念願が叶いましたので、その様子をレポートします。

ボートを漕ぐのって楽しい!!

阪神魚崎駅から東南へトコトコ歩いて約17分、神戸市漕艇連盟のクラブハウスの隣にあるKOBEボート教室魚崎会場に到着です。ここで受付と検温を済ませます。この日の最高気温は31.6度、朝からカンカン照りの真夏日和でした。スタッフの方、ボランティアの方達は朝7:00前からボートやテントの準備をしてくださったそうです。

会場に着いた初心者は、最初にボートの漕ぎ方の練習をします。これはローイングマシンという漕艇の練習機。この機械で約30分漕ぎ方の基本動作を習います。簡単な動きの繰り返しなのですが、ボートビギナーのやまさんにとってはなかなか難しかったです。

ライフジャケットを着て手の消毒を済ませたらボートに乗ります。ボートに乗り移るときは船底を痛めないようシートのレールの上に足を乗せます。スライディングシートに腰を掛け、ストレッチャーという台に両足を固定します。このスライディングシートは名前の通り座席がオールを漕ぐときにスライドしてくれるので、お尻が痛くなることはありません。オールのグリップを両手で掴み、コックスと呼ばれる舵手の合図で離岸します。

参加者が使うオールは、写真のようなマコン型ブレードがついた初心者にも扱いやすいもの。とても軽いです。一方、参加者の補助をする補漕が使うのは菜切り包丁のような形のチョッパ型。マコン型に比べて扱いが難しいそうです。ボートを漕ぐときは、オールの棒の部分についたピボットと呼ばれるリングをローロックに常に固定するようにします。でないとオールが暴れてうまく漕げません。

出発!

漕艇競技で使用されるボートにはシェル艇とナックル艇の2種類があります。今回のボート教室で使用されたのはナックル艇をボート教室用に特殊改造した、初心者でも操作しやすいもの。底の丸いシェル艇だと、初めて乗った人はすぐにひっくり返ってしまうそうです。乗員は漕ぎ手4名にコックス(舵手)が1名の合計5名です。

 

ボートの構造は向かって左端がトップ(艇首)、右端がテール(艇尾)になります。トップから4名の漕手が乗艇し、テールにコックスが座ります。コックスはボートの乗員に号令をかける役目です。今回の教室では参加者の多くが初心者のため、1番漕手にはボートの熟練者がついて参加者の補助をしてくれます。

ボートの桟橋から東魚崎大橋をくぐって青木方面へ向かいます。

このボートの補槽は神戸高校ボート部の部員です。この日は神戸高校ボート部から6名、東灘高校ボート部から2名がボランティアとして来ており、参加者の補助やボートのお世話をしてくれました。近畿圏にボート部のある高校はわずか19校しかありませんが、なかでも阪神沿線にボート部のある高校は兵庫県立神戸高等学校と兵庫県立東灘高等学校の2校のみと、希少な存在です。「いつも練習で魚崎運河を使っており、お世話になっているので、いつもの恩返しのつもりで来ました」とのこと。神戸高校ボート部の部員は約30名でしっかりしたコーチが3人もついているそうです。

取材の時に、救助艇に同乗させていただきました。こちらの方は救助担当の柏木さん。神戸市役所で働いていた頃、実業団で選手としてボートを漕いでいたそうです。KOBEボート教室でお世話をしてくださる方の多くは、学生時代や社会人時代にボートに親しんだ人ばかり。現役を退いてもこうした形で地域の大会や教室のヘルプを買って出ているのだそうです。

コックスの号令に合わせて皆んなでボートを漕ぎます。「キャッチ」でオールを水に入れ、「ロー」でオールを手前に引きます。これを最初は3回(3ストローク)、慣れてくるに従い回数を増やして最後は10回立て続けに漕ぎます。

 

やまさんと一緒に乗った2人はボート部の学生さんらしく、動きが揃ってとても綺麗でしたが、やまさんは1人でバタバタしてオールを前後の漕手さんにぶつけまくっていました。オールの抜き上げが上手くいかず、水からなかなか離れてくれない状態を「腹切り」と言うそうです。この日やまさんは何回も腹切りをしてしまい大変な思いをしました。ですが、うまく全員で揃って漕げるとものすごく嬉しいのです。「今のは上手くいったね!」と皆んなで一体感を感じることもできます。何よりもオールが揃うとボートがちゃんと前に進むんです!ボートってこんなに面白いのかと初めて知りました。実はやまさん、子供の頃から大の運動嫌いで今までほとんど体を動かすことがなかったのですが、ボートなら大人の初心者でも楽しめると思いました。

 

魚崎運河から青木のサンシャインワーフ神戸が見えます。ここは以前東神戸フェリーセンターというフェリー乗り場で、六甲アイランドフェリーターミナルが完成するまでは四国や九州へ行くフェリーが数多く発着していました。やまさんは子供の頃この青木港をよく利用していたのでとても懐かしかったです。

今回の教室では、クラブハウス前から出発し、東魚崎大橋の東側と西側約200mを往復します。

魚崎運河の東側では神戸高校の学生さんがボートの練習に励んでいました。

向かって左側の建物は「神戸市建設局東水環境センター」です。この中には「神戸下水道の歩み館」が併設されており、年末年始を除く平日9:00から17:00まで無料で見学することができます(要予約)。やまさんが近くを通った時も親子連れが中に入っていくところでした。

 

処理場の対岸には「水辺の遊歩道・うおざき」があります。春先になるとこの遊歩道のアーモンド並木が一斉にピンクの花を咲かせ、メジロ、カワセミ、オオバン、コサギなどの野鳥観察もできます。

神戸市のマンホールカード第1弾「王子動物園」の元になったデザインマンホール。全国各地にはこうした地域の土地柄を反映したデザインの蓋が設置されています。東水環境センターの処理場を見学した人は第1弾「王子動物園」のマンホールカードがもらえます。実は日本各地にマンホールカードのコレクター、通称マンホーラーがおり、マンホールの写真とともにこのカードが人気アイテムなのです。

そういえば、下水処理場のおかげか、普段から漕艇部や漕艇連盟の方が清掃活動をしているのか、運河はとても綺麗で匂いもなく、水面にはゴミひとつ浮いていませんでした。

無事教室が終了しました。

ボートに慣れている参加者やスタッフの方は全員ボートに水筒を持ち込み、適宜水分補給をしていました。そして、つばの広い帽子や防暑帽を被り、長袖長ズボン、スパッツで全身を防御していました。炎天下でのボート漕ぎですから、気をつけないといけませんね。

ボートが戻ってくると、ボランティアさんがオールのグリップを消毒します。コロナ対策も万全です。

この日KOBEボート教室に参加された橘ママさんとああちゃんです。お二人は魚崎会場の近くにお住まいで、自転車で会場までやって来たそうです。小学5年生のああちゃんは「漕ぐのが楽しかったです」と嬉しそうでした。会場は親子での参加が多く、大人よりも子供の方が飲み込みが早いようで、すぐにスイスイ漕げるようになっていました。ママさんによると、夏休み前に学校で配られたお便りに夏休みに親子で参加できるイベントが色々と紹介さており、その中にこのボート教室があったそうです。「ボートに乗ろうなんて思ったら遠いところまで出かけないと無理だと思っていたのに、こんな近くでボート体験ができて良かったです。夏休みの親子での良い体験ができました」とママさんもとても喜んでいました。

 

このイベントは公的機関の補助と地元企業からの支援により運営されていますが、まだまだ運営費が潤沢ではなく、スタッフやボランティアの皆さんは無償でこのイベントを準備されているそうです。参加費も無料でしたから、どの方も純粋にボートの楽しさを一般の人にも知ってもらいたいという思いだけで働いてくださっているんですね。頭が下がります。

 

KOBEボート教室に参加したやまさん、あまりにボートが楽しかったので、近くに初心者でも入会できそうなボート教室がないか探してみました。すると、魚崎運河で週末の朝にボートが漕げる「魚崎ローイングクラブ」がありました。こちらは18歳以上限定のクラブで、現在20~84歳までの成人の方がマイペースでボートを楽しんでいるそうです。メンバーのほとんどがボート競技経験者ですが、初心者でも一人乗りのボートが漕げるようになるまで指導してもらえるそうですよ。

 

魚崎会場でのボート教室は8月7日で終了しますが、HAT神戸会場で来月9月11、18、25日にボート教室が開かれます。残念ながら9月の募集枠はいっぱいだそうですが、見学歓迎とのことですので是非のぞいてみてくださいね。

神戸ボート教室 詳細

【情報】

神戸ボート教室 魚崎会場

開催日:7/17・7/24・7/31・8/7

実施時間:9:00~12:00

最寄駅:阪神魚崎駅から徒歩17分

会場:神戸市東灘区魚崎南町 魚崎運河水域

参加費:無料

 

 

神戸ボート教室 HAT神戸会場

開催日:9/11・9/18・9/25

実施時間:9:00~12:00

最寄駅:阪神春日野道駅から徒歩8分

会場:神戸市中央区脇浜海岸通 生田川河口水域

参加費:無料

 

KOBEボート教室募集ページ

HAT神戸ボートコース設立実行委員会 Facebook

レガッタの歴史とKOBEボート教室については後編でご紹介

後編では神戸におけるレガッタの歴史、そしてKOBEボート教室を主催している「HAT神戸ボートコース設立実行委員会」の活動についてお伝えします。

 

後編へ続く

【後編】夏は親子でボート体験! 魚崎とHAT神戸でKOBEボート教室開催