沿線お役立ちコラム

【前編】インバウンド客のお助け窓口 神戸市総合インフォメーションセンター@三宮

三宮は神戸観光の玄関口

神戸在住のチアフルライターやまさんです。

今回は神戸を訪れる観光客のために全力投球で頑張っている女性の皆さんをご紹介します。

神戸市中央区三宮は神戸の玄関口。

阪神神戸三宮駅をはじめ阪急線、JR線、ポートライナー、神戸市営地下鉄やバスの各線が集中するハブとなっています。

そのため、国内のみならず海外からも毎日多くの観光客が三宮を訪れます。

そのお客さんに対し観光案内サービスや道案内をしているのが、ここJR三ノ宮駅前にある「神戸市総合インフォメーションセンター」です。

阪神三宮駅からもすぐ行ける場所にあります。

同センターは1994年9月関西空港の開港と同時に神戸と関空を結ぶ船舶ラインができたため、海外からのインバウンド客の増加を見込んで開設されました。

当初は交通センタービルの中にありましたが、2011年12月1日にJR三ノ宮駅前に移転し現在の姿になりました。

スタッフは総勢9名。

カウンターの中には常時2名から5名のスタッフが待機し、お客さんの質問に答えます。

現在全員が神戸に暮らす神戸っ子。

そしてなんと全員が英語での応対可。

さらに英語以外に韓国語と中国語対応が可能なスタッフが常駐しています。

面白い神戸観光情報はないかと時々同センターでパンフレットを物色していた私、ある日次々と押し寄せるお客さんたちに中国語でてきぱきと道案内をしているスタッフの方を目にし「めちゃかっこいいなあ、この人たちに話を聞いてみたい!」と思い、取材を申し込んだのでした。

阪神神戸三宮駅(西口)改札を出て右へ

JR三ノ宮駅へ向かうエスカレーターに乗って

さらに右へ

ポートライナーのりばの看板を過ぎ

さらに右へ

到着

神戸市総合インフォメーションセンターの牽引役・江さん

スタッフの皆さんを代表して江さんに詳しくお話を伺いました。

江さんは同センターの開設当初からこちらで勤務されており、長年に渡り数多くのお客さんに神戸の様々なスポットを案内してこられました。

Q:どこからのお客様が多いですか?

江:インバウンド客の9割がアジアからです。韓国、香港、中国、台湾、マレーシア、タイ、ベトナムのお客様が多いですね。中国、マレーシア、ベトナムは数年前に海外渡航条件が緩和されたため、随分増えてきました。例えば中国は30年前ですと国からの滞在許可が必要で、富裕層やビジネス関係のお客様ばかりだったため英語での対応が可能でしたが、ここ2、3年は中国語しか話さず、英語がダメというお客様がぐっと増えました。

Q:どういう質問をするお客さんが多いですか?

江:基本的には神戸市内の観光情報提供、道案内ですが「ここから北海道へはどう行ったらいいの?」なんて質問もあります。鉄道会社、バス会社を含め外国語での対応ができるスタッフがほとんどいないため、当センターならどんな質問もわかってもらえるということで、大抵どんな質問にも対応しています。いわば何でも屋さんですね。よくある質問としては「お得な1日券はない?」です。
せっかくの機会だからと過密スケジュールを立ててこられるお客様もけっこういます。そういった方にはスケジュールの再調整をご提案したりもします。

Q:人気の観光スポットは?

江:異人館や南京町、旧居留地、神戸牛も人気があります。お花はどなたにも人気がありますね。岡本の梅林公園、桜、ツツジ、バラなど、皆さん季節ごとのお花を見に行かれます。酒蔵も人気で阪神大石駅ー今津駅間の灘五郷へ行かれる方も多いです。日本酒の入った袋を提げて当センターに入って来られる方も結構いらっしゃいます。

Q:ピーク時間は?

江:午前中からお昼過ぎまでが最も混みます。それから夕方に「あと30分あるんだけど行けるところはない?」とおっしゃる方や夜景を見に行かれる方が来られます。

Q:宝塚や阪神タイガースなどのファンはいますか?

江:いらっしゃいますよ。阪神に在籍しているアメリカ人選手を見に来たという方や、サッカーチームのヴィッセル神戸に移籍したイニエスタ選手やポドルスキ選手を応援しにわざわざスペインやドイツから来られるお客様もいます。それから、マリナーズに在籍していたイチロー選手が12月から1月のオフシーズンに神戸でトレーニングに来ていた頃には、それを追いかけてアメリカからお見えになる方もいました。

Q:どんなことで困っているお客さんが多いですか?

江:最近ですと忘れ物ですね。「電車やバスに忘れ物をしたんだけど、どうしよう!?」ということで、私たちがあちこちに電話して探します。やはりお客様の神戸での旅の思い出が嫌なものになってほしくないので、こちらとしても全力を尽くします。

Q:スタッフのお勧めスポットはありますか?

江:お客様によって行きたい場所、したいことは様々ですので、個別に会話をしながらそのお客様が何に興味を持っているか探っていって「では、ここなんかどうですか?」という風にお勧めします。例えばあるケーキ屋さんへ行くことが決まっている方にその周辺のお客様が好みそうな場所をピックアップしてご提案するとか。

Q:神戸の街を歩いて実際に調査をしたりすることはありますか?

江:あります。例えば美術館でもどの点が面白いとか見所だとかは、やはり実際に自分の目で見て初めてお伝えできることですから。そうすることでお客様に提案できる情報により具体性が出てきます。

Q:この仕事をしていて嬉しいことは何でしょう?

江:お客様の疑問やお困りごとに対して上手く対応ができた時はやはり達成感があります。そのために私たちも情報の更新やお客様への対応の仕方など常に向上し続ける必要があります。得た知識や情報は常にスタッフ全体で共有します。そのことで職場全体のチームワークも良くなります。こう言ってはなんですが、これほどやりがいのある仕事はなかなかないと思いますよ。

Q:逆に大変なことは?

江:当センター以外に外国語対応ができるスタッフがいる場所が少なすぎることです。例えば三宮各駅やバスターミナルなどの公共交通機関には毎日たくさんのインバウンド客がいらっしゃいますが、どこも外国語ができるスタッフがほとんどいないため、当センターがその全ての受け皿になっている状況があります。お客様の忘れ物ひとつを取ってみても、駅では対応できず「あっち(当センター)で聞いてくれ」と。これはお客様にとって、大変不便なことです。
 神戸は昔から多くの外国の方が住む土地柄です。ここ数年で神戸を訪れる海外からのお客様も随分と増えました。なのに街全体の受け入れ体制はまだまだ貧弱です。各交通機関や施設、また路上で地元の方達が気軽に外国からのお客様の質問に答えたり道案内をしたりできるようになるとお客様ももっと楽しく旅行ができると思います。

Q:最後に一言お願いします

江:私たちスタッフ全員この神戸という街が大好きですから、お客様の旅の思い出が少しでも良いものになるよう、「ああ、来て良かったな」「また来たい」と思っていただけることを何よりも願っています。神戸を訪れた皆さんには笑顔で帰っていただきたいのです。

中国語対応スタッフの周さんにお話を伺いました

昨年の11月から同センターに勤務しているという周さん。

中国系三世で生粋の神戸っ子。

中華同文学校に学び、北京に1年間留学して中国語に磨きをかけたそうです。

他国の方はネットで行きたい場所を下調べしてくる方が多いそうですが、中国の方は割とラフに「今日1日空いてるんだけど、どこへ行ったらいい?」と全てお任せのお客さんも結構いるとか。

台湾からのお客さんは大抵ポートアイランドの動物王国へ行くのだとか。

一時よりは減ったものの爆買い客も多いそうで、今は化粧品、薬、紙おむつなどが人気だそうです。

【後編に続く】