なぜか胸に迫る、出航の光景
タラップが引き上げられると、早駒の作業員と船員の連携によりビット(係船柱)に掛かっていたロープが次々と外されていきます。気が付くと先の方に満艦飾で飾られたエスコート船「竜王」が待機しています。竜王の船体につけられた電光掲示板には「御安航お祈り致します」のテロップが。
いよいよ出航です。見送りの人たちは手に手に「ご安航を」を意味する船舶用の国際信号旗を掲げています。これと同じ信号旗が海王丸のマストにも。このサインは船舶関係者や船好きの人たちの間で「おかえりなさい」「いってらっしゃい」の意味で使用されています。園児たちの「行ってらっしゃ〜い」の歓声に応えて汽笛が3度鳴らされ、海王丸の船長をはじめ士官達、実習生達がデッキや艦橋に整列、帽子やヘルメットを一斉に振っています。
遠く太平洋や大西洋上で操船訓練をしている海王丸ですが、日本の各港へも年間に何度も寄港しており、クルーにとっても港湾で出迎える人々にとってもこの日の出港はいつもの風景の一つでしょう。ですが、不思議なもので関係者でもなんでもないやまさん、この時点で感極まってしまいました。
写真:万国共通の国際信号旗には一つ一つ、または組み合わせによって意味があり、船舶同士で合図を送ることができます。これは上から順に「UW1」、その意味は「あなたの協力に感謝する。ご安航を祈る。」「Thank you very much for your cooperation. I wish you a pleasant voyage.」 「UW」だけでも「ご安航を祈る」の意味になります。
「菊星丸」と「日陽丸」は海王丸とワルツを踊るかのように海王丸の船首を180度回転させると、ゆっくりと海王丸から離れていきました。入れ替わるように両サイドにエスコート船「竜王」と「きくすい」が寄り添い、沖へと船を送り出します。名残を惜しむかのように再度海王丸が3度汽笛を鳴らします。海王丸はこのあと姫路港へと向かい、来年まで神戸港には戻りません。
さよなら海王丸、また来年神戸港でお会いしましょう。
von voyage!
海王丸の船影が消えてゆくのを待っていたように、突堤ではにわかに強い風が吹き始めました。
文/チアフルライター やまさん
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