鉄道非常事態対応総合訓練に参加しました

エンカチライターのケイトです。
11月5日は「世界津波の日」でした。
兵庫県や大阪府にお住まいの方は、緊急速報メール(エリアメール)が一斉に鳴り響く場面に遭遇した方も多いのではないでしょうか。
さてその前日の11月4日、阪神電鉄尼崎車両基地では鉄道非常事態対応総合訓練が行われ、エンカチライターとして私も4歳6歳の娘を連れて参加させていただきました!
内容もさることながら、一般非公開の画像も必見です!

例年この時期に阪神電車で行われてきた訓練ですが、鉄道部門だけでなく別の部門や沿線自治体などの外部からも訓練に参加できるのは今回が初めて!
普段は入れない車両基地へ入れるので私も興奮がおさまりません。
簡単な説明の後、早速訓練の開始です。
早速、訓練開始



まず、私たちは乗客役なので階段で4両の車両の好きな箇所に乗り込みました。
子ども達の希望により、最後尾の車両へ。
乗客役が乗り込むとドアも閉まります。
訓練をよくわかっていない子ども達は「この電車はどこに行くのかなあ」とワクワク。
するとここで電気が消え、地震による脱線事故が発生!
乗客は車内で待つようにアナウンスがありました。
重症者役が車内の床に倒れ、伏せています。
緊迫する車内

続いて乗客の中に社員がいたら手伝いに来るようにアナウンスがあり社員の方々は一番前の車両へ。
医療関係者役は重症者の近くに寄り添います。
訓練なのでみんな落ち着いて避難誘導を待っていますが、実際こんなに落ち着いていられるか自信はありません。
それくらい緊迫した雰囲気の中、ようやく訓練を理解した長女が
「私たち、よく電車に乗るから練習しておかないとね」
と言うので、このあとはハシゴで線路上に降り立つのだと説明し、たくさんあった荷物をとりあえず一つにまとめました。
車掌さんからは頻繁に状況説明のアナウンスがあり安心しましたが
「飛行機は荷物置いといてって言われるけど今回はどうかな」
「靴も脱いで滑り台を滑るんだよね?」
「電車は靴を脱がないんじゃない?」
「まだ避難できないの?」
などと子ども達はやはり待ち切れず騒いでいました。
避難開始と溢れかえる子どもの荷物

やがてドアが開き、ハシゴを使わずに降りられる人は近くのドアから線路に飛び降り
私は子連れだったので先頭まで移動してハシゴで降りました。
乗降ドアが開いている車両を移動するのは、最後尾からなのも相まって道中少し不安でした。
そして、先ほどまとめたはずの荷物が多すぎて、普段からもう少し減らすべきだなと反省しました。
いよいよハシゴを使って降車!






ようやく先頭車両に辿り着きましたが、ハシゴは1つしかないため列ができていました。
地上にいた運転手さんが手をとって1人1人降ろしてくださるので、もし人見知りしたり「ママがいい!」などと叫ばれたらと思うとゾッとしました。
幸い我が家の姉妹は全く人見知りがないのですが。
また、目の不自由な方など1人でハシゴでの降車が無理な方は社員の方がついて誘導し、車椅子の方は担架で本人と車椅子を別々に下ろし走れる場所まで移動していました。
担架の数も限られていますし、ベビーカーや車椅子にも荷物が載っているでしょうから実際はもっと大変なのではと思います。
先ほどの荷物の件もですし、ハシゴまで車両を移動するという点も混雑時にはおそらく難しいでしょう。
一度訓練を体験してみることで「ここどうしたらいいの?」と思う点も多く、とてもリアリティがありました。
冷静に避難していたはずが、すっかり雰囲気に飲まれていたようです。
「避難時は線路の間を歩いてください」との声かけに、ああそうだったと我に返りました。
復旧作業の見学





避難訓練が終了したあとは、復旧作業の見学をしました。
復旧作業は
車両脱線復旧
電車線断線復旧
信号機復旧
軌道復旧
高欄橋柱点検補修
の各作業の同時進行となります。
ダイナミックかつ繊細な車両脱線復旧作業




私たちの目の前で、車両脱線復旧を行うとのことでそちらから見学しました。
まず被害状況の確認をしたあと、破損したパンタグラフを固定します。
阪神大震災でもパンタグラフはぐちゃぐちゃに破損したそうです。
次にいよいよ脱線した車両を復旧します。
あれはなんだろうと思っていた箱の中には車のマメジャッキより大きい40トン持ち上げられるジャッキが入っていました。
一般車両は約30トン、1両目は36トンとのことで余裕で持ち上げられそうです。
車両やジャッキに貼ってあるSとNは南北を意味し、そのSとN左右のジャッキを水平に保つのが1番難しいそうです。
今回はすでに設定しているが、本番ではレベルを水平に設定するために板木をかませレベルゲージをみながら水平に上げていくとのこと。
上下は油圧電動のジャッキですが、横は繊細な作業なのか手動で操作していました。
また、一度真っ直ぐにしても降ろして線路に近づけるとズレがまた見つかるため、少しずつ降ろしてその度にズレを確認し微調整という、こちらの想像以上に根気のいる作業でした。
チームワークが光る軌道復旧作業 運転見合わせの度にイライラしていた過去の自分に喝!





さて、同時進行で進んでいる他の復旧作業も見てみましょう。
ちょうど、信号はほぼ復旧完了とのことだったので、その手前の軌道復旧作業を見学しました。
こちらも複数人で作業をしていましたがお互い作業責任者の指示のもと、相手が何をしているか、今なんの作業がどこまで進んでいるのかを把握し自分のやるべきことをやっているという印象を持ちました。
普段からのチームワークがないとできないことなので感動しました。
それほどテキパキと作業をしているにも関わらず軌道損傷の人力での、まくら木1本交換は時間がかかりますが、本当に地震が来た際には何本も壊れるだろうからかなり大変だと思いました。
そしてこちらも大掛かりな割に、傾きを重視する繊細な作業であることも気がつきました。
普段の電車の利用時の「信号故障のため運転見合わせ」や「軌道点検のため運転見合わせ」などに毎度ものすごくイライラしていたのですが、大急ぎでやってもこんなに時間かかるんですね。
しかも重労働。作業をされている方に感謝の気持ちとイライラしていた今までの自分への恥ずかしさでいっぱいです。
「試運転ってなんやねん早よ乗せてくれ」とか思ったこともありましたが、これは試運転いる、絶対。
長丁場のため一般をいれるのは難しそうですが、どれもぜひみなさんに見てほしい作業でした。
とは言いつつも15時50分終了予定だった復旧作業も15時20分には終わっていたので想定より早かったことになります。
夜間に軌道計測車が走行してるなんて知ってましたか?


その後、軌道復旧と高欄橋柱点検補修を行った工務部からのお話をお伺いしました。
普段から軌道計測車を夜間に走らせて、データを分析し、レールの摩耗検査などと照らし合わせて、必要となればレールや枕木を更換、道床つき詰めを行っているそうです。
また大物訓練所でベテランが講師になり、若手を中心に様々な保守交換の訓練を行なっているそう。
今回のように緊急時を想定した訓練も年に数回しているとのことで、だから今回の復旧訓練もはやかったのかもと納得しました!
やはり日頃からの訓練が大切ですね。
こちらは毎年行われているはんしんまつりでも体験できるそうです。
今年はもう参加募集も開催も終わってしまったので、来年はぜひ行きたい…!
最後に、軌道計測車は夜間にしか走らせられないので騒音で迷惑かけるかもだけど理解してほしいとのこと。
そんな車両の存在は全く知らなかったので、びっくりしました。
「事故のない、災害に強い阪神電車でありたい」

全ての工程が終了したとのことで訓練の総括として社長より講評があり「事故のない、災害に強い阪神電車でありたい」
という想いがひしひしと伝わってきました。
阪神大震災を体験した社員が減ってきていることもあり、今回の訓練での気づきを大切にしていきたいですね。
子ども達は
「電車に乗って降りたのが楽しかった」と呑気な感想でしたが
「車両からハシゴで線路に降り立ち、線路の上を歩いて避難した」
という今回の経験が今後の人生での糧になってくれれば嬉しいです。
そう思えるような充実の訓練体験でした。参加させていただきありがとうございました!

津波避難訓練 概要
日時: 2025年11月4日(火)13:30~17:30
場所:阪神電気鉄道株式会社 尼崎車両基地
尼崎市北城内116番地 (阪神尼崎駅より徒歩7分)
訓練想定:
南海トラフを震源とする巨大地震発生と大津波警報発令によるお客さまと社員の避難誘導、被害状況確認及び復旧作業

