絵本の魅力を発信!ホッシー ナッキーさんの新作絵本が刊行されました!

こんにちは!生きものと自然が大好きなエンカチライター くがやよいです。阪神間で0歳から100歳の方と絵本を読んで29年。絵本の力と読み聞かせの大切さを伝える絵本講師(昔話講師)をしています。
絵本は、子育ての心強い味方!そして幼い子どもだけでなく、思春期や大人の人にもエールを送り、時に寄り添ってくれます。そんなことを感じてもらえる記事を発信していこうと思います。どうぞよろしくお願いします。
この秋、尼崎市在住の絵本作家でイラストレーターのホッシー ナッキーさんの新作絵本『じいじ、じーっ』(ポプラ社)が刊行されました。この記事では、絵本と作家さんの紹介、絵本原画展の様子をお伝えします。(写真左:ホッシー ナッキーさん。右が筆者)
子育てしながら2週間で描き上げた作品が「日産童話と絵本のグランプリ」で佳作を受賞!

9月初旬、我が家のポストにピッカピカの絵本が届きました。今回紹介するホッシー ナッキーさんの新作絵本『じいじ、じーっ』です。数年前、私が絵本講座に伺った幼稚園で、お話を聞いてくださっていたお母さんたちの中に、偶然、ホッシー ナッキーさんがいらっしゃったのです。
お子さんが赤ちゃんだった時から毎日毎日絵本の読み聞かせをするうちに、絵本作りに目覚めたホッシー ナッキーさん。なんと、子育てをしながら、わずか2週間で描き上げた作品が「日産童話と絵本のグランプリ」で佳作を受賞!そこからホッシー ナッキーさんの絵本出版への道のりが始まったのだそうです。

受賞作『じーじ、じー。』は10年の時を経て、この秋、ついに絵本『じいじ、じーっ』として産声を上げたのです。生まれたてホヤホヤの貴重な一冊を送ってくださった気持ちがうれしくて、ありがたく、私は社会人になった娘と久しぶりに絵本を開きました。
今、このひとときを愛おしむ。じいじとぼくの、あたたかくて優しい時間

表紙には、じーっとこちらに熱い視線を送ってくるじいじ。水色のスポーツシャツを着たこんなおじいちゃん、公園とかにいそう……。そんな親しみやすさにふっと心がほぐれます。
前後の見返し(表紙を開いてすぐのページ)には、じいじとまごの日常が4コマで描かれています(そうそう!子どもって、大人のすることをじーっと見ているんですよね。こんなことあるある!と共感)。
おさんぽに出かけるじいじと孫のぼく。滑り台を滑ったり、かくれんぼをしたりと元気に遊ぶぼくを、ちょっぴり心配しつつも、じーっと見守るじいじ。どうやらじいじは、孫との遊びは初心者のようで、歩いたり走ったりするぼくの後ろを息を切らしてついていきます。
そんなおさんぽの途中でハプニングが!さすがのじいじも冷や汗タラリ。泣いてしまったぼくを、それでもじっ、、、と見つめるじいじ。そして、涙目のぼくの前にじいじがぱっと差し出したものは……
じいじの仕草と表情から、孫への溢れんばかりの愛情が伝わってきます。じいじは、きっと孫のぼくが、すぐに大きくなってしまうことを知っているのでしょう。今、このひとときを愛おしむ、ほのぼのとした二人のやりとりや、絵本の中に流れるあたたかくて優しい時間が、絵本を読む私たちを笑顔にしてくれます。
ホッシー ナッキーさんに会いに絵本原画展へ@大阪難波 ART HOUSE

ホッシー ナッキーさんにお話を伺いたいと思い、在廊されている日を確認して、大阪のART HOUSEさんで開催されていた絵本原画展に向かいました。(原画展は9月23日で終了)

ART HOUSEさんは、個性豊かな新進気鋭の作家さんたちの作品が展示されているギャラリーで、絵本や雑貨の販売もしています。阪神電車 大阪難波駅から北西に約13分ほど歩くと看板が見えてきます。
以前、絵本『菌たろう』(同作者)の原画展に伺ったのですが、店内のレイアウトがとても魅力的で、この日も外から店内を見て入ってくるお客さんが何人もいました。


「アートショップ&ギャラリーART HOUSE」
大阪府大阪市西区北堀江1丁目12-16
Phone: 06-4390-5151
営業時間11:00~18:00
金曜日 11:00~19:00
火曜日 11:00~17:00
定休日 水、木曜日
詳しくはこちら→ ARTHOUSE | 大阪 堀江 – ギャラリー&アート雑貨の店 ARTHOUSEのオフィシャルサイト
ジュニアからシニアまで、幅広いファンが訪れる原画展

一冊の絵本が完成するまでには、さまざまな苦労があります。そして、長く読み継がれる絵本には、大人の意図や計らいではなく、子どもへのまっすぐな思いが込められています。原画展では、ホッシー ナッキーさんの絵本の制作過程や、おじいさんとお子さんとの思い出、絵本に込められた思いなどをお聞きすることができました。

ホッシー ナッキーさん!
ホッシー ナッキーさんは、ギャラリーを訪れるお一人お一人にとても丁寧に応対されていました。中には、遠方から来られた「ファンです」というおじいさんも!ジュニアからシニアまで、ファン層のなんという厚さ!
子どもの頃から瓶にためているというシーグラスをアレンジした作品も展示されていて、海辺でシーグラスを集めるのが好きな私は、アート作品にしてしまうホッシー ナッキーさんのセンスとアイディアに感心してしまいました。


抱き心地がよさそ~うな、柔らかじいじのぬいぐるみとグッズ。枕にしたら、じいじの夢が見られるかも。アイマスクは、変装にも使えそう。これらはホッシー ナッキーさんの手作りということに、またびっくり!どこまでクリエイションの人なんだー!!
テーブルの上には、これまた手作りの「じいじ神経衰弱」や「じいじ福笑い」も。小さなお子さん連れでも、飽きることなくへんてこな顔を作って遊べます。

楽しいグッズや、温もりのあるタッチで描かれた作品を見ていると、手に取る人や、見る人のことを思い浮かべて、ご自身も楽しまれながらこつこつ手作りしているホッシー ナッキーさんの姿が浮かんできました(←想像です)。
編集者さんとの打合せメモや、びっしり書き込まれた制作ノート、ラフスケッチも展示されていました。絵本が誕生するまでの貴重な資料です。作品が生まれるまでの過程や根っこの部分が、たくさんの記録やスケッチから伝わってきました。
絵本の中にはさまざまな工夫が……!

絵本には、何度も読み返して「絵を読む」楽しさがあります。おさんぽの途中には、よーく見ると小さな生きものたちが描かれています。小さな石ころも、じいじがほろりとこぼした涙も、子どもはきっと見逃さないでしょう。
二人が歩く地面は、途中まで同じ高さで描かれているのですが、おさんぽに合わせてアスファルトから土へ、そして緑の草原へとグラデーションになって変化していきます。
この絵本の絵は、コラージュという手法で切り紙を貼って制作されています。ホッシー ナッキーさんは、ガーゼに絵の具を付け、とんとんと叩いて色付けをしていったそうです。よく見るとガーゼの繊維のやわらかさと、色のあたたかさが相まって、とってもいい味を出しています。
さらに、文章の文字も一文字一文字、手書きでデザインされたとのこと。細やかで丁寧な手仕事が、この作品世界を作り上げているのだと思いました。
おじいさんとの思い出
絵本に登場するじいじとぼくは、ホッシー ナッキーさんのおじいさんと、お子さんがモデルになっているそうです。実際に二人でおさんぽに行くことはなかったので、絵本のお話はフィクションとのことですが、おじいさんの思い出を話してくださいました。
ホッシー ナッキーさんが高校生の時に、失明してしまったおじいさん。「目が見えなくて不自由じゃない?」と訊ねたホッシー ナッキーさんに、おじいさんはこう言われたそうです。
「いや、そんなことない。目は見えなくなったけど見えることが増えたよ。人の優しさが見えるようになったから」
おじいさんは、ご飯のときも、お風呂に入るときも、大きな声で「ありがとうございます」と口癖のように言われていたそうです。お話を聞いて、絵本の中のぼくを見守るじいじのまなざしは、ホッシー ナッキーさんの成長を見守っていたおじいさんのまなざしなのかもしれないな、と思いました。
クラスメイトにも「今日、ホッシーのおじいさん いたぞー」と人気者だったのだとか。
何気ない日常の中にある幸せと、愛された記憶

子どもの毎日は、新しい物事との出会いの連続です。子どもが幼ければ幼いほど、この世は未知のことだらけ。初めて出会うものや経験することにとまどったり、不思議に思ったり、ちょっと怖かったり、うれしかったりと、子どもは心と体をたくさん動かしながら成長していきます。そんなとき、信頼できる大好きな人がそばにいて見守ってくれていたら、こんなに心強いことはないでしょう。
絵本の中のじいじは、「危ない」とか「やめなさい」とか、大人がつい子どもに言ってしまいそうになる「注意・禁止・命令」の言葉を一言も言いません。ちょっぴり心配しつつも、ぼくの行動をじーっと見守り、じーっと待ち、気持ちに寄り添い、同じ目線で同じものを見て、幸せな時間を分かち合います。そんな風に愛された記憶は、子どもの心の根っこにずっとずっと残り続けることでしょう。
自身の子育てを振り返ってみても、子どもの成長は案外早く、一緒にいられる時期はあっという間に過ぎて行きます。子どもが「絵本を読んで!」と言うのは、「一緒にいて!」ということです。お膝の上や一緒のお布団で絵本を聞いてくれるのは、長い人生の中でたった数年。期間限定なのです。
息子さんの言葉と絵本から広がる思い

絵本に登場する「ぼく」のスケッチ。
完成した絵本を見て、ホッシー ナッキーさんの息子さんは、感慨深そうにこう言われたそうです。
「何度も何度も描き直して、こうして絵本になったんだからすごいよね……。」
今まで、ずっとずっと、ホッシー ナッキーさんの絵本作りを間近で見てきた息子さん。一番のファンであり、応援者だということが伝わってきます。幼かった息子さんを喜ばせたい一心で、絵本を作り始めたホッシー ナッキーさん。その思いは、今では息子さんにとどまらず、絵本を通じてたくさんの子どもたちへと広がっています。
秋の夜長に絵本を開いてみませんか。絵本の中に流れるあたたかくて優しい時間は、絵本を読んでいる私たちをきっと笑顔にしてくれると思います。体温のある大好きな人の声や、優しいまなざしの記憶は、子どもの中に降り積もり、愛された記憶としてずっとずっと残り続けるのです。
ホッシー ナッキーさんの作品

★『菌たろう』 ホッシー ナッキー/さく・え、三科美保子/企画・さく (企業組合ビュースパイア)2022年4月
★『うちゅういちの たかいたかい』(中央公論新社)第1回「書店員が選ぶ絵本新人賞」特別賞受賞
★『ひげおじさんとあかちゃん』(「こどものくに ひまわり版」2025年9月号、鈴木出版)
★『じいじ、じーっ』(ポプラ社)
ほか、イラストレーターとしても活躍中。「うんこドリル」やお寿司屋さんのポスターにもイラストが。
★ホッシー ナッキーさんホームページ https://hossynakkie.com/

似顔絵サインを描いてくださいました!
「尼崎市制110周年記念ロゴ」最優秀賞受賞!

さらに、ホッシー ナッキーさんのイラストが、2026年市政110周年を迎える尼崎市の「市政110周年記念ロゴ」の最優秀賞を受賞!10月吉日、「みんなの尼崎大学」にて松本市長と大勢の人たちが見守る中、お披露目されました。
尼崎の伝統野菜である「尼芋」、「田能の里芋」、「一寸そら豆」が仲良く手をつなぎ、笑顔で歩く姿が「110」の数字になっています。
尼崎で、愉快であたたかくて優しい人々に出会ってすっかりこの町が好きになり、いつか尼崎市で絵描きとして貢献したい。そんな思いを込めてロゴを制作されたというホッシー ナッキーさん。
健康と幸せを運んできてくれそうな伝統野菜たちの「市政110周年記念ロゴ」。これから尼崎市内のあちこちで見られることが楽しみです。
ホッシー ナッキーさん作品 期間限定POP UPショップのお知らせ@大阪梅田
ホッシー ナッキーさんの作品が期間限定POP UPショップで展示・販売されます。
『じいじ、じーっ』(ポプラ社)
『うちゅういちのたかいたかい』(中央公論社)の絵本
じいじの巾着袋、クッション、ブローチ、キーホルダーなどのグッズ、シーグラスイラストも。
お子さんへのクリスマスプレゼントや年末年始の帰省のお土産にもおすすめです!
この機会にぜひ、足を運んでみてくださいね!
場所:TSUTAYA BOOKSTORE梅田MeRISE 1階にて
Instagram:@tsutayamerise
大阪市北区鶴野町1番5号
(阪神電車 大阪梅田駅下車 北東へ徒歩約10分)
営業時間:8:00~21:30
電話: 06-6373-7373 / FAX: 06-6373-7766
期間:11月24日(月祝)〜12月14日(日)
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