沿線お役立ちコラム

甲子園のレンタルスペース『まんまるみかん』 家族で育む 地域と人をつなぐ“あったかい居場所”

目次

空き家だった1階を みんなの集まる場所に

エンカチライターのakkoです。
阪神甲子園球場の歓声が聞こえてくるほどの距離にある住宅街の一角に、「レンタルスペース まんまるみかん」はあります。
一軒家を住み開きした、おうちのぬくもりを感じるコミュニティスペースです。
運営するのは橘弥恵子(たちばな みえこ)さんとお母さま。
元保育士・幼稚園教諭として子どもと関わる仕事を続けてきた橘さんが、お母さまとともにこの場所を始めました。

「しばらく空き家になっていた1階部分を“みんなが集まるあったかい場所にしよう”と思い立ったんです。」
祖父母、曾祖父母と暮らしてきた思い出の家を改修し、2011年8月に『まんまるみかん』が誕生。

お母さまがスペースの管理全般を担い、橘さんはデザインや広報、イベント運営など“外に出る役”を務めています。
母娘で役割を分担しながら運営するーーまさに“家族経営”の温かいかたちです。

「地域に開かれた場所をつくる」という想いの原点

『まんまるみかん』誕生の背景には、2つの大きな出来事がありました。
ひとつは、2011年3月に起きた東日本大震災。
阪神淡路大震災を経験している橘さん親子にとって、そのニュースは他人事ではありませんでした。

「自分たちにできることは限られているけれど、せめて“困ったときに声をかけあえる地域”をつくりたい。」
そうした思いが、地域コミュニティの場としての『まんまるみかん』の原点になりました。

もうひとつは、長年暮らしてきた家族の家に対する深い思いです。
「いつも笑い声が絶えない賑やかな家でした。かつて家の前が幼稚園だったこともあり、幼稚園帰りの親子がそのまま集まって遊び、親同士もおしゃべりを楽しんで…。そんなふうに、人が気軽に立ち寄る家だったんです」

“人が集う”風景が当たり前にある中で育ったことが、橘さんにとってとても楽しく、幸せな記憶になっているそう。
「みんなに育ててもらったみたいな気持ちがある」と橘さん。
その思い出は今も『まんまるみかん』の空気の中に息づいています。

子どもを真ん中に やさしさで育ち合う子育て広場

取材で伺った日には、ちょうど「子育て広場」が開催されていました。
まるで実家に帰ってきたかのようなぬくもりに包まれた空間で、
お母さんたちは安心した表情でおしゃべりを楽しみ、子どもたちは自由に遊びながら時々ママの膝へ戻っていく——。
そんな光景が印象的でした。
「この子育て広場は、私にとって“原点”のようなイベントなんです。」と橘さん。
保育士時代から「親子が笑顔で過ごせる場所をつくりたい」という思いを抱いていたそうです。

保育や発達、子育てについて学んできた橘さんと、同じく元保育士でベビーマッサージ講師の日野みえこさんが一緒に開催しています。

ここで過ごす時間は、 ママたちにとっては「わが子を一緒に見守ってくれる大人がいるという安心の場」であり、「特別ではないことも、ちょっと相談できる場所」
そして子どもたちにとっては、「人と関わる経験ができる場所」になっています。

スペースには、お子さんへの優しい声かけがちりばめられていました。

「顔が見える信頼関係」でつながるコミュニティ

まんまるみかんでは、ヨガやハンドメイド、ベビーマッサージ、読書会など、さまざまなイベントが行われています。
防音機能を備えた部屋は、音楽関係の習い事や練習にも利用されています。
橘さんが大切にしているのは、「顔が見える関係で運営すること」。
「“誰が使っているか”がわかる安心感や信頼関係があることで、参加者の方々も信頼して来てくださる場所になると思うんです。」
単なる貸しスペースではなく、利用者や訪れる人同士がつながり、応援しあう関係が自然に生まれる。
それが『まんまるみかん』の魅力です。

『まんまるみかん』を通して広がる「つなぐ」活動

レンタルスペース運営をはじめ、イベント企画やWebデザイン、講師同士の交流会、場づくりの勉強会など、橘さんは『まんまるみかん』を軸に、人と人、モノやコトを“つなぐ”活動を幅広く行っています。

橘さんが持つ温かで優しいデザインや、ずっと続けてこられた発信のスキルを活かし、まさに「つなぐ人」として地域に温かな循環を生み出しています。

ここでちょっと私の想いを語らせてください

今回、私は橘さんと初めてお会いしましたが、実は以前からお名前を知っていました。
ヨガインストラクターとして起業したばかりの頃、子どもの習い事の会場が『まんまるみかん』だったのです。
そのとき橘さんの存在を知り、「こんな素敵な仕事があるんだ!」と心から憧れを抱きました。
当時はまだレンタルスペースという形が珍しく、橘さんはその先駆けのような存在。
「住み開き」という概念が今ほど知られていなかった時代に、地域で人が集まる場をつくり続けてこられた橘さんの姿は、私にとって“ロールモデル”の一人でした。

あれから十数年。
『まんまるみかん』が今も地域に根づき、たくさんの人の居場所になっていること。
そして橘さんが、お母さまと共にその灯りを絶やさず続けてこられたことに、心から感動しました。
「続けること」は決して簡単なことではありません。
きっといろんな出来事を経てこられたと思います。
でも、純粋に“この場所が今もあること”が、私はとてもうれしかったのです。

そこにあることが、安心につながる

『まんまるみかん』という場所は、「レンタルスペース」という言葉だけでは語りきれない、“人のぬくもり”があります。
どんな時代も、どんな世代も、そのまん中には「人」がいる。
そんな当たり前のようで難しいことを、橘さんとお母さまはずっと続けてこられました。
家族の思い出が息づき、地域の未来が育まれる場所。
そこにあるだけで誰かの安心につながる。そんな場所が『まんまるみかん』です。
これからも、この場所が“やさしい灯り”となって、地域をあたたかく照らし続けていきますように。

こうしえん おへやレンタル まんまるみかん 詳細情報

住所:西宮市甲子園高潮町2-25
アクセス:阪神甲子園駅より南西へ徒歩5分
電話:0798-46-3664
メールアドレス:mikan.cheb@gmail.com
ホームページ:https://manmaru-mikan.jimdofree.com/
Instagram:https://www.instagram.com/rental_manmaru_mikan/
ブログ:https://ameblo.jp/love-mogera/