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藤城清治101歳展 生きている喜びをともに@大阪梅田

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藤城清治101歳展 生きている喜びをともに

皆さんこんにちは!美術館・博物館担当、エンカチライターの甲斐千代子です。
「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」がグランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボで開催中です。

日本における影絵の第一人者、藤城清治は1924年東京都生まれ。16歳の時に油絵をはじめ、後に、人形劇と出会い、上演活動に勤しみます。戦後の混乱期においては、人々の心に安らぎと希望を与えようと、「影絵」という独特の表現方法を追求し始めます。紙を切り抜く「切り絵」をベースにしながら、光を透過させることで、光と色彩を巧みに操り表現される幻想的な世界は、多くの人に愛されています。101歳となった現在も、精力的に創作活動を続ける藤城氏。展覧会の開幕前日の内覧会には、本人が登場し(お隣は藤城清治美術館館長でご息女、藤城亜紀さん)作品や創作活動への想いを語りました。

会場入り口で出迎えてくれる作品は《日本一大阪人パノラマ》、縦3m横6mの大作で、大阪の名所が描かれています。
皆さんよくご存じのキャラもあちらこちらに登場しています。隅々まで見てほしい作品です。

会場には、藤城氏が若かりし頃に描いた油絵、メルヘンの世界や、物語、神話などを描いたモノクロやカラーの影絵など約150点が並びます。

藤城氏は影絵について『16歳から油絵を始めた。戦争で海軍に行き、戻ってきてからは物資不足で絵が描けなくなった。そんな時に出会ったのが影絵。蝋燭や太陽、月などいろいろなものから生まれる光と影、風に揺れることで生まれる光と影のゆらぎ、面白いなと思った。人がいて、動物がいて、光と影があれば影絵はできる』と、その魅力を語りました。

メルヘンの世界 ケロヨンや動物たち

藤城氏プロデュースによるカエルのキャラクター「ケロヨン」。1960年代に放送していたテレビ番組「木馬座アワー」で大人気となりました。私自身はリアルタイムでは知らないのですが、歌は知っています。なぜなら、我が家にも「ケロヨン音頭」というEPがあったんです。子どもの頃毎日のように聴いていました。

こびとや動物、ケロヨンといった様々なキャラクターが同居して作り上げられるメルヘンで楽しい世界をご堪能ください。

やっぱり猫が好き

藤城氏は愛猫家で、アビーという猫と同居しています。
『毎日の服装は靴下選びから始まる。靴下に合わせて、ズボン、シャツ、上着、帽子などを決めていく。色を瞬間的に組み合わせていく。靴下がかごの中に100足ほど入っているが、ある日、アビーがかごの中から靴下をかきだして、楽しそうにしている。これは描かないと仕方ない!(笑)』藤城氏からは猫愛溢れたお言葉が!
洗濯かごに入りしたり顔で靴下を巻き上げるアビーの愛らしい姿に注目です。

80歳を過ぎてからは戦争や震災にまつわる作品を制作するようになった藤城氏。そのきっかけは、初めて目にした広島の原爆ドームでした。「悲惨な出来事が未来を生きる力につながる、そんな作品を作らなくてはならない」
藤城氏は、『(それまでは)見て欲しいし伝えたい、幸せな気持ちになってほしいから(作品を)創ってきた。(だが)震災が起きた時、船が陸にあがってしまった、一本だけ残った松、生きて残った松、なんてひどいことが起こったんだろうと感じた。こういった出来事をこの先100年後の人々にも伝えたい。僕にはゴールがない。生きている限りどこまでもどこまで描き続けたい』と話していました。

キャラクターとともにカフェで一息

会場出てすぐ隣にある、1階CAFÉ Lab.では、コラボメニューの「影絵」カプチーノが登場。
イタリアのイリーのコーヒー豆を使用。イリーはイタリア生まれのコーヒーブランドで、厳選したアラビカ種を極細あらびきにしていて、まさにエスプレッソを味わうのに最適なんです。

私は、猫の「らむちゃん」をセレクト。最後まで絵柄を楽しむコツは
① かき混ぜない
② 泡立てた牛乳の部分、面積の広い所からゆっくりとすするように飲む。
③ 少しずつ、飲み口を変えて、優しく飲む。
すると、最後まで絵柄が美しい状態を保つことができます。
結果はこちら↓

「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」

会場ラストには、101歳の誕生日を記念した新作も展示されています。お見逃しなく!
「藤城清治101歳展 生きている喜びをともに」
会期:2026年1月4日まで
会場:グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボ

エンカチライター

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