
冬は温かいお鍋などで野菜の摂取が増えやすい中、気候変動などで最近は野菜の価格が高くて手が出ない!と嘆いている方も多いのではないでしょうか。私もその一人ではありますが、こんな時こそ冷凍野菜やカット野菜なども注目してみませんか?
カット野菜や冷凍野菜の栄養は?

みなさんのイメージはどうでしょうか。カット野菜や冷凍野菜は生野菜より栄養価が低い、と思われるでしょうか。
野菜の鮮度を見分けるとすれば、変色や水が出ていないか、という点になってきます。変色は酸化、水が出るのは野菜から出てくる水蒸気で、いずれも時間が経つと生じるものです。
カット野菜は、仕入れた材料を洗浄→カット→消毒→洗浄→脱水→保管、という工程で製品化されます。また冷凍野菜についても、洗浄→カット→加熱処理→冷却→水切り→急速冷凍(1次)→グレーズ(うすい氷の膜を張る)→急速冷凍(2次)→保管となります。いずれも、変色や水が出ないように時間との勝負で作られています。
もちろん、自家製で採りたての野菜と比較するのは無謀ですが、ある程度の栄養は保たれている、と思っていただいて大丈夫です。
そしてこれらの野菜も、農家さんが心を込めて作ったものです。
どうやって摂るのがベストなの?

カット・冷凍という考えよりも、水溶性ビタミン(ビタミンB・Cが多い野菜、色の白い野菜などに多い)はそのままかスープごと食べる、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・Kが多い野菜、緑黄色野菜などに多い)ならオイルと一緒に摂る、と考えると効率的です。ミネラルについては熱というより水に流れ出るか出ないか、ということが関わってきます。
野菜を摂りやすくする工夫。
例えば野菜をなかなか摂らない方からは、「何種類も買って食べきれない」「切るのが手間」「高いから食べない」などのお話を聞くことが多いです。逆に食べている人からは、「たくさん買ったからまとめて切り分けて冷凍する」「帰ったらすぐ食べられるようにピクルスにしている」「スープにする」などのお話を聞きます。
肉や魚は下処理が済んだものを「焼くだけ」「煮るだけ」などの単純作業が多い中で、野菜はそのままで買ってきて、下処理や下調理などがあり敬遠されがちです。魚や肉同様に、下処理・下調理が済んでいれば購入して食べる方がいることが見えてきます。そこに上手くカット野菜や冷凍野菜が当てはまるわけです。これで、「そのまま」「焼くだけ」「煮るだけ」でよくなります。そして野菜の種類も色々一緒に入っているので、一人暮らしでも帰宅時間が遅くても彩りよく様々な種類の野菜が摂れるようになります。そして何より、価格がお手頃であることや、使い切ることが出来るので新しいものが食べられることにもつながります。
野菜の大きな働きは、豊富なビタミンやミネラルによる3大栄養素のお手伝いです。ご飯をエネルギー化するのにも、蛋白質を血液や筋肉に変えていくにも、油脂類を吸収するにも、ビタミンやミネラルが無ければ行われません。また、余分な糖分やコレステロールの吸収を抑えるために、食物繊維も必要です。摂りやすい方法で野菜を摂取することが大切です。
<栄養確保の 3ステップ>

①蒸して食べる
これは野菜の中にビタミンもミネラルもみんな閉じ込めているので、持っている栄養を逃がしません!味も閉じ込められ、水分が少し飛ぶことで味が濃く感じ、熱が加わることで甘みが増えるものもあり食べやすくなります。
生のままだと嵩高く抵抗感がある方は、レンジにかけると嵩も半分になりあっという間に食べられます。
②生のまま食べる
サラダ・ピクルス・マリネなどそのまま食べることもビタミンを逃がしませんが、例えば水溶性ビタミンはサラダで、脂溶性ビタミンはオイルを加えてマリネにするなど、ビタミンの種類に合わせて油脂の使用も考えてみると吸収の効率もよくなります。
③炒めて煮込む
シチュー・カレー・汁物・卵とじなど。
炒めてから煮る、という工程は、水溶性も脂溶性も逃がしません。ただし、汁気を摂る、ということは塩分の摂り過ぎに繋がるので、注意しましょう。
<今回のレシピ>

コンビニ材料でかんたん豆腐グラタン
材料 15㎝グラタン皿2個分
A:ホワイトソース
絹ごし豆腐 小1丁 150g
白みそ(だし入りでも可) 大匙1
(インスタント味噌汁の素なら1個)
パン粉 大匙1
ポテトサラダ(袋タイプのもの)
B:具材
サラダチキン 1個
オニオンサラダ 1パック
(冷凍ホウレンソウやブロッコリーなどでも可)
ピザチーズ
乾燥バジルまたはブラックペッパー
①ホワイトソースをつくる
絹ごし豆腐を泡だて器やフォークで細かくつぶし、白味噌、パン粉を入れてよく混ぜ合わせたら、ポテトサラダも混ぜ合わせる。
②具材の準備をする
サラダチキンを一口大に切り(ほぐしたり、好みの形で良いです)、オニオンサラダと合わせておく。
③①と②を600ワットレンジで2分温める。
④グラタン皿に②を入れた後、①のソースをかけて、最後にピザチーズをかけてトースターでチーズに焦げ目がついたら取り出す。
⑤乾燥バジルまたはブラックペッパーをかけて完成。(お好みでオリーブオイルなどもどうぞ)
絹ごし豆腐の味に味噌が入ることでこくが出ます。お勧めは白味噌ですが、なければ普通の味噌でも構いません。インスタント味噌汁の素の方がだしが入っていて作りやすいと思います。ポテトサラダは荒いものだと食感があり、マッシュポテトタイプであればソースがまとまりやすくなります。グラタンを焼くときによく引っ付かないようにお皿にバターなどを塗ることがありますが、ポテトサラダのマヨネーズが代役をします。パン粉を入れることで具材やソースから出る水が吸われてまとまりやすくなります。具材が味のついたもの、またそのまま食べられる材料なので表面に焼き目が付けば完成です。
「花の命は短くて」という言葉がありますが、野菜が新鮮で美味しくいられる時間も短いものです。それを活かすための技術として、カット野菜や冷凍野菜は発展してきています。もちろんそのまま、新鮮なものを食べられることは非常にうれしいことではありますが、臨機応変に、いろんな方法で野菜を摂ってみてください。どんな販売方法であっても、農家さんが大事に育てたお野菜です。