フォトジェニックなスポットだと思ったら
作品:マキコムズ 《ROKKOのDO BE SUN GARDEN》 風の教会エリア
エンカチライターのクニコ2000です。
今年も「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」が始まりました。
この夏は暑かった… 六甲山は市街地より5℃ほど低いと言われていますが、私が訪れた内覧会の日(8月23日)は、六甲山上も猛暑でした。
ここ3年は、私が「神戸六甲ミーツ・アート」のレポートを担当していますが、今年は余韻に浸れる作品が多かったように感じました。
こちらの写真はカラフルで、思わず写真を撮りたくなるスポットですが、じっくり見てみると、カラフルな素材はなんと「ビーチサンダルの型抜きの残り」なんです。
型の大きさは、小さいサイズから大きなサイズまでいろいろなサイズがあります。
ビーチサンダルの型を抜いた素材が、アーティストの魔法にかかれば、ポップな作品になってしまいます。ビーチサンダルに小さな愛着を感じました。
アートを通して、自分自身を見つめ直す
作品:船井美佐 《森を覗く 山の穴》 ROKKO 森の音ミュージアム
木陰に美しく光る大きな円。じっくり眺めると美しい鹿のシルエットが見えます。鹿の背景に写る青い空とサバンナのような景色は、ステンレスミラーに映り込んだこちら側の景色です。
もっと近くに寄って写真を撮影すると…
懸命に写真を撮影する自分自身が、その円の中に映り込んでいるではありませんか!
あまりにも無防備な自分の姿と六甲山の自然が美しいハーモニーを奏でていました。(ほんまかいな?)
昭和な雰囲気で楽しむ現代アート
作品:ロブ・ファン・ミエルロ 《Wild Animals》 トレイルエリア
トレイルエリアにある古民家が会場の『ヤンセンアトリエ』
玄関でスリッパに履き替えて、居間に上がると、少しにじんだように描かれた動物たちの絵が飾られています。どの動物たちも幸せそうな表情。
会場は、空き家だったと思われる昭和の雰囲気がただよう日本家屋。子供の頃、友達のお家に遊びに行った記憶がよみがえり、とても懐かしい気持ちになりました。
居間に飾られたかわいい動物たちは、アムステルダム在住のアーティストの作品です。オランダ人の作品が昭和な雰囲気の日本家屋に馴染んで、なんだか不思議なそして居心地の良い空間でした。
ふだん立ち入れない場所に佇むアート
作品:福島周平 《wraps》 トレイルエリア
トレイルエリアには、古くて大きな山荘が点在しています。「これらの山荘は今でも誰か使っているの?」と、前から気になっていました。
普段は入れない場所を歩くワクワク感と怪しい雰囲気を漂わせるアートにドキドキしました。
アートも六甲山の自然に帰る
作品:蒲原凪×田羅義史×村田優大 《泥の夢》 トレイルエリア
六甲山周辺で採取した泥や土で作られた舟が空き地に置かれています。この泥船は風雨にさらされ、そのうち土に還っていくそうです。
この泥船が展示してある場所は、以前は女子大のセミナーハウスでした。そのセミナーハウスは長く使われておらず廃墟になりかけていたのですが、数年前に取り壊され今は更地になっています。
古いものは取り壊されて、自然に帰る。このアートもこの六甲山で自然に帰っていく。六甲山の自然循環ですね。
まだまだ廃墟が残る六甲山。自然循環が進みますように。
期待を裏切らない場所
作品:布施琳太郎 《ニューノーモン:新たな大地のための日時計》 六甲ガーデンテラスエリア
見晴らしテラスにある作品は毎年楽しみです。
今年は日時計でした。それも、ずいぶん昔からそこに設置されているような威厳を感じます。
昔は小学校にもあったし、身近な公園にもあった日時計。そういえば神戸にもありましたね。
懐かしさと美しさを兼ね備え、そして大阪湾の展望と見事に調和していました。
毎年この場所にあるアートは期待以上です。
見た目はかわいいけれど恐ろしいアート
作品:生田目礼一 《『ヒカリ島』~夜光植物“UkarukuPa”燐光実験区~》 六甲高山植物園
高山植物園の中でひっそり美しさを放っていた作品です。あまりにも繊細で儚い。
カラフルな風船のようなアートは何を表現しているのか?と、思い解説を読んでみると、実は人間が生み出した「放射性廃棄物」がガラスの植物となって地中から伸びているそうです。
美しさに惹かれていたけれど、実は人間がもたらした危険な生き物だったのです。
ユーモアを感じるアート
作品:田岡和也×Omult.Venzer 《ウエルカム山小屋資料館~ある登山家の生涯~》 トレイルエリア
山上に住む人たちの集会所でもある「六甲山地域福祉センター」が、今年は山小屋資料館に変身。
登山家(架空)の生涯をいろいろな展示物で表現しています。
高校の文化祭を思い出した楽しい作品群。この登山家さんはとてもユーモアがある人だったのかもしれません。
なぜなら、飾ってあるものを見るだけでニコニコしてしまうから。
このかわいいぬいぐるみ。その実態は自動やまびこ機(正式名称は忘れました)。
館内にたくさん隠れています。私の声もやまびこにしてくれました。
森の中の癒しアート
作品:さとうりさ 《こはち》 ROKKO森の音ミュージアム
ROKKO森の音ミュージアムの野外アートゾーンに、静かに佇むオブジェが2体。それも仲良さそうに寄り添っています。
下の湧水を眺めているのか?それとも森の中で静寂を楽しんでいるのか?表情が愛らしくて癒される作品です。
仕掛けが美しい
作品:村山郁 《電球都市:神戸六甲景》 風の教会エリア
古いシャンデリアと間違うくらい、天井からたくさんの電球が吊るされています。電球の中に絵ハガキが封じ込められており、美しいアートを創っています。
そしてこの絵ハガキは、六甲山の開祖であるイギリスの貿易商グルームさんの出生地と神戸・六甲の観光絵ハガキだそうです。
今は使われていない古いホテルの管理人室で、ぼんやり灯る美しい電球。近づくと小さなステンドガラスのようです。幻想的で美しいアート。
これぞ関西!
作品:松田修 《六甲おろさない》 トレイルエリア
ミーツ・アートの会場で時々目に入る「六甲おろさない」というオブジェ。「六甲おろしをさせない?」と、不思議に思っていたら、トレイルエリアで正式な作品を発見!
「六甲おろさない」という立て看板のもと、大きな風車ふうの扇風機が海側に風を送らないように回っています。
「六甲おろし」を人間の力で阻止するのか? 阪神タイガースの応援歌はどうなるんだ?と、考えさせられました。
扇風機の近くには大きな発電機が低い音を立てて。扇風機に電気を送っています。
こんなことまでして、六甲おろしを阻止する必要があるのか? このオモロイ(関西弁:面白い、ユニークな)作品に眼が釘付けです。
なんといっても大阪人の私は、こんなバカバカしい(褒め言葉です)ことに真正面から取り組むこのアーティストのこの作品がお気に入りになりました。
帰り際にふと作品を振り返ると、小さな女の子とママが大型扇風機で涼んでいました。
『六甲おろさない』は、猛暑の六甲山では来場者のお役に立っていました。
今年のミーツ・アートは、笑ったり、和んだり、ちょっと考えさせられたり、さまざまな余韻に浸れる作品が多かったです。
皆さんも六甲山で、趣向を凝らしたたくさんのアートを眺めながら余韻を楽しんでみませんか?
神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond
作品:水田雅也《イノシシ村のお願い》 トレイルエリア
「
■会期
2024年8月24日(土)~11月24日(日)
※会期中無休。
ただし六甲山サイレンスリゾートのみ、8~10月の毎週月曜休業。月曜日祝日の場合は、火曜日に振替休業。
■開催時間
10:00~17:00 会場により一部異なります。17時以降も鑑賞できる作品があります。
■鑑賞パスポート
【ナイトパス付鑑賞パスポート】
「ひかりの森」の鑑賞を含むパスポートです。
※「ひかりの森~夜の芸術散歩~」の開催日は9月21日~11月24日の土・日・祝のみ。
17:00~20:00(19:00パスポート販売終了)です。
大人 4,000円
小人 1,700円
【鑑賞パスポート】
※「ひかりの森」の鑑賞は含みません。
大人 3,000円
小人 1,200円
※購入する窓口によって料金が異なります。
詳しくは公式ホームページでご確認ください。
■会場
ROKKO森の音ミュージアム
六甲高山植物園
六甲ガーデンテラスエリア
トレイルエリア
風の教会エリア
六甲ケーブル(六甲ケーブル下駅・山上駅・天覧台)
六甲有馬ロープウェー 六甲山頂駅
兵庫県立六甲山ビジターセンター(記念碑台)
六甲山サイレンスリゾート(旧六甲山ホテル)