悩めるコンビニメニュー。
皆様のこのコラムをご覧になっている時間帯をお伺いさせていただくと、大体お昼前後や帰宅時間帯などに多く、おそらくお昼ご飯や晩ご飯の事でヒントがあったらなあ、と思っていただいているのではと感じました。外出するほど時間のない昼休み、疲れて帰るのにご飯を作る手間、ご飯の事を考えるのっていつでもヒントが欲しくなりますよね。余裕がある時は手をかけて、お昼休みや残業で遅くなった時などちょっと余裕がない時は、少しでも時短でバランスよく出来たら嬉しいですね。
バランスとは。
「バランスよく食事を摂る」という言葉を、耳にすることはよくあるのですが、それがどういうことですか?と逆にお伺いすると「バランスよくすることです」なんてオウム返しでお返事が返ってくることがあります。なかなか具体的にはイメージが湧かない方もいらっしゃると思います。
食べ物には栄養素があって、栄養素にはそれぞれ体に対する役割があり、また栄養素によって分解・解毒・貯蔵など関連する臓器が変わってきます。ですから、1つの栄養に絞ることは、体の働きを手伝う栄養が一部不足したり、ある内臓に限定して負担をかけたりしてしまいます。いろいろな栄養素を揃えて食べることで、身体に働きかけること、内臓への負担を分散させることが「バランスよく食事を摂る」ことになるわけです。まずは栄養素として、三大栄養素の①炭水化物、②たんぱく質、③脂質、とこれらをお手伝いする④ビタミン・ミネラルを知りましょう。
栄養素を知ろう。
では、バランスよく摂るために、栄養素をまず知りましょう。
①炭水化物:主に主食
働き:脳や内臓の基本のエネルギーです。
どんな食べ物がある?:穀類(米・麦・雑穀など)・芋類・果物・一部の豆類など
炭水化物と関係する内臓:利用するための準備→膵臓(血糖コントロールの為のホルモンを作る)
余剰な糖分・不足した際の補充→肝臓(過剰な際はいったん肝臓に貯蔵し、身体のエネルギーが不足すると解糖系というところが働いて再度体に糖分が回るようにします)
②たんぱく質:主に主菜
働き:筋肉や血液や免疫の材料となります。
どんな食べ物がある?:肉・魚・卵・大豆製品・乳製品など
たんぱく質と関係する内臓:たんぱく質を人の体で使えるようにする→肝臓(たんぱく質をアミノ酸という細かい形に分解し、その時に出るアンモニアという毒を解毒する)
たんぱく質から出るごみの処理→腎臓(たんぱく質から出た窒素というごみを尿にして捨てる)など
③脂質:主に主菜
働き:体調を整えるホルモンの材料、細胞膜の構成、エネルギー源などになります。
どんな食べ物がある?:油・種実類など
脂質に関係する内臓:
脂質の吸収→肝臓(脂質が吸収されやすいようにするために胆汁を作る)
脂質の消化→膵臓(脂質の消化酵素を作る)
主に調理方法や調味料で使われるものが多いです。
④ビタミン・ミネラル:主に副菜
働き:三大栄養素の利用されるときのお手伝いをするもの
どんな食べ物がある?:野菜・果物
ビタミン・ミネラルと関係する内臓:ほとんどです。三大栄養素はビタミンやミネラルの補助が無ければ吸収や利用されることが難しい為、栄養素が働けない結果体のトラブルが生じます。
例:ごはんなど炭水化物はとれているけど、ビタミンがない→ウェルニッケ脳症・脚気など
お肉や魚などたんぱく質はとれているけど、ミネラルがない→貧血、心筋障害など
必要なのは、3点セット。
①主食:ここに炭水化物を持ってきましょう。脳や内臓のエネルギー源となります。
②主菜:ここにたんぱく質と脂質を持ってきましょう。たんぱく質は血液や筋肉や免疫の材料、脂質は体調を整えるホルモンや、私たちの体の細胞の膜を構成する成分です。
③副菜:ここに野菜を持ってきましょう。野菜にはビタミンやミネラルが含まれており、炭水化物をエネルギー化したり、たんぱく質を血液や筋肉に変えたり、脂質の吸収の補助をします。そして食物繊維も含まれており、腸内細菌の栄養になったり腸の掃除をしたり、血糖の吸収を緩やかにしたりコレステロールを排泄するお手伝いをしたりします。
食事を摂る時は①主食・②主菜・③副菜の3点セットが揃っていることを意識しましょう。献立を考えるときの基本となります。イメージしてみましょう。
<コンビニアレンジのヒント 3ステップ>
<コンビニアレンジのヒント 3ステップ>
コンビニアレンジのこつは、③副菜→②主菜→①主食とすると考えやすいです。
<メインになります!>
A:ねばねば丼(または麺)
③おくら・山芋・めかぶなどが入った野菜→②温泉卵や納豆→①ご飯やそうめん・そばなどの麺類
野菜に味がついているから、麺つゆはかけなくてもOK。温泉卵や納豆のタレを足してください
B:お好み焼き・もんじゃ焼き・やきそば
③千切りキャベツ・冷凍ネギ→②卵、豚肉、シーフードミックスなど→①小麦粉・やきそばなど
混ぜて焼くだけ!
<こんなのいかが?>
野菜の一品に、一工夫してみるのもあり!
C:酢の物
胡瓜の酢の物+カットわかめ+かにかま
2人前ぐらいに膨らむのでご家族と分けたり、翌日の朝ごはんに回したり。
D:茄子と揚げの揚げびたし
揚げ茄子+焼き厚揚げ
冷凍や総菜の揚げ茄子をレンジでチン!その間にトースターで厚揚げを焼いておいて、どちらも温まったら合わせる。冷凍の場合は味が付いていないので麺つゆやポン酢等と鰹節をかける。
時間があれば、きちんと作る。余裕がなければ、誰かに頼る、便利なものを利用する。大切なことは、食事をきちんと摂ることです。少しずつアレンジの腕を上げて、上手にお食事を摂るようにしてみましょう。
最後に、塩分を上げたくない!という方には、必ずやってほしいこと。副菜は必ず味付けをしますから、コンビニメニューの際はどうしても塩分が高くなります。そこで、「主食の塩分を抜く」のがポイントになります。おにぎりや麺は塩が足されています。なので、帰ってきたらご飯が炊けているようにタイマーをかけておいたり、パックごはんを利用したりしてみてください。おにぎり1個で約1~2gの塩分があるので、普通のご飯に変えると塩分が減ります。
<今回のレシピ> レンジだけ!トマトパスタ
材料
スパゲティ1束 100g
冷凍茄子(生で1本ぐらい) 100g
カットトマト缶 1/2缶
ツナ缶(70gサイズ) 1缶 A
コンソメ 小さじ1
オリーブオイル お好みで
塩・胡椒・乾燥バジル 適宜
①朝お出かけの前に、ジップロックに半分に折ったパスタを入れて水につけておく。
②帰ってきたら、パスタの水をいったん捨てて、レンジで使える容器に入れ替えてお湯を400cc入れ、
レンジで4分加熱する。硬ければレンジ時間を足していく。ゆであがったらお湯を切っておく。
③Aを合わせておく。
温かいパスタが良い場合は、冷凍茄子+Aをすべて合わせてレンジで加熱する。
冷たいパスタが良い場合は、冷凍茄子だけレンジ解凍した後氷水で冷やし、そのあとAとあわせる。
パスタとソースを合わせて出来上がりです。
茄子だけではなく、ブロッコリーやパプリカ、ズッキーニなどを加えると彩りよくなります。
パンチが欲しければ、ニンニクやブラックペッパーを
マイルドにするなら、生クリームを
ツナ缶の代わりにベーコンを
色々アレンジしてみてくださいね。
食事は大事、時間をかけるだけではなく、効率よく食べることも大事です。
カット野菜や缶詰は、「誰かが途中まで手伝ってくれた」と考えてみてはどうでしょうか。