発酵食品は身体の味方?
今回のテーマは、発酵食品。身体によさそうな響きに聴こえますよね。分かりにくいのが発酵と腐敗との違いですが、いずれも細菌やカビなどによって影響を受けていることを指しています。発酵=カビや菌によって身体に役立つように成分が変わる、腐敗=カビや菌によって身体に害をもたらすものに変わる、と考えていただければ良いと思います。では、「発酵食品」とはどのように身体に良いのでしょうか。
発酵食品とは?
食品+細菌・酵母・カビなどを合わせて微生物の力で発酵して出来上がった食品を「発酵食品」と呼びます。
例えば、
調味料:味噌・醤油・酢など
たんぱく質食品:納豆・生ハム・塩辛・チーズ・ヨーグルトなど
漬物 :ぬか漬け・キムチなど
飲料 :甘酒・紅茶・ウーロン茶・ビール・ワインなど
まだまだ沢山あります。
発酵させるメリットって?
①発酵菌などが腐敗菌を寄せ付けず食品を長持ちさせる。
チーズやヨーグルトなどのたんぱく源になるものは、栄養価が高いからこそ菌が増えやすいものです。なぜ消費期限がもとの材料より長くなるのでしょうか?例えば、牛乳に乳酸菌を加えると、乳糖を分解し乳酸をつくり(これを乳酸発酵と言います)、生成された乳酸が食品を酸性にすることによって他の有害な微生物を増えにくくする働きがあります。生ハムにも乳酸菌が役立っています。塩分濃度が高いと大体の菌は死んでしまうことが多いのですが乳酸菌は活動できるので、肉の表面で働き乳酸を作ることで他の微生物が増えないようになっています。
②うまみをアップする。
乳酸菌や麹菌などがたんぱく分解酵素を作り出すことによって、たんぱく質がアミノ酸に変わりうまみ成分を作り出します。
味噌や醤油などは大豆や小麦に麹菌を加えると、麹菌が作った酵素が大豆に働きかけて味噌の風味やうまみを生み出します。
鰹節が発酵食品なのをご存じですか。発酵すると食品が柔らかくなるのでは?と思うと不思議ですよね。鰹節にどのように発酵がが関わっていくのかというと、3枚おろしにした鰹を加熱した後に乾燥させ(荒節)、麹菌がいるカビのついた部屋に荒節を入れて表面にカビを発生させます。カビの胞子は毒になってしまうので、胞子を払って再度カビのついた部屋に入れる、ということを繰り返すと麹菌やカビ菌が鰹節の水分を吸い取り乾燥します。こうしているうちにカビや酵母からたんぱく質分解酵素が働いて、アミノ酸ができ、うまみの成分が増えてくるわけです(枯節)。枯節になって初めて発酵食品となります。
③腸内環境改善のお手伝いをする。
発酵菌の種類には、麹菌・酵母菌・乳酸菌・納豆菌・酢酸菌などがあげられます。例えば乳酸菌は腸内細菌の善玉菌として知られています。納豆菌はでんぷんからオリゴ糖を作り、そのオリゴ糖を乳酸菌が食べて増えることで、悪玉菌が繁殖しないように働きかけます。
④酵素・アミノ酸・ビタミンなどが作られ、栄養価が高くなる。
発酵菌を食材に合わせることで酵素が発生し、その酵素によって食材の一部が分解され、アミノ酸やうまみ成分、ビタミンが作り出されます。ビタミンは補酵素と言われており、体内の酵素のお手伝いなども行います。
⑤食品の吸収力をアップさせる。
たんぱく質などの大きな分子は、体内の消化酵素で分解されアミノ酸になります。微生物が作り出した酵素もたんぱく質をアミノ酸に、炭水化物をブドウ糖などに分解することにより、吸収しやすい形にします。
ちなみに余談ですが、発酵菌の中でお酢を作る酢酸菌、ココナッツミルクに入れるとナタデココが出来上がります!!
発酵食品のはたらきをいろいろと見てきました。ただ、「必ず」、「絶対」、「たくさん」摂らなければならないわけではありません。前述しているナタデココも発酵食品ですが、実は出来上がった後は不溶性食物繊維といって消化しにくい繊維が多くなる分、カロリーが低くなります。したがって胃腸が弱っているときは発酵食品とはいえ負担はかかるし、カロリーを減らしたい人には、ありがたい食品です。このようにメリット・デメリットが存在しているわけです。
毎日乳製品を食べてコレステロールが上がってしまったり、汁物を摂りすぎて塩分が増えて血圧が上がったり、アルコールを飲んで中性脂肪が上がったりなど、デメリットが出てきてしまってはせっかくの発酵食品のメリットも台無しになってしまいます。使えるときは利用してみる、という程度に考え、体調をしっかり確認しながら利用するようにしましょう。
<今回のレシピ>
発酵食品を利用したお料理代表作‼
タンドリーチキン
材料
鶏肉(小さい方が早く漬かります)むね肉1枚
ヨーグルト 大さじ1杯程度
塩こしょう 適宜 A
カレー粉 (お好みで調整)
①鶏肉1枚にフォークで何カ所か穴をあけておく
(早く漬けたい方は、小さく切る)
②Aを袋に入れ、そこに鶏肉を入れて揉んでしばらく置く。
(長く置くほど、柔らかくなります)
③フライパンに油をひいて焼く
ちょこっとpoint
ヨーグルト自身も発酵食品ですが、含まれている乳酸菌が作るたんぱく分解酵素などにより、お肉が柔らかくなります。したがって漬け込む時間が長いほど柔らかくなるので、余裕があれば前日やお出かけ前などに漬け込んでおくと良いと思います。ヨーグルトがついている分、焦げやすい為、ある程度焼き目がついているけれど中まで火が通っているか怪しいときは、フライパンから引き上げてレンジで加熱するようにしてみましょう。
また乳製品アレルギーなどがある方は、ヨーグルトの代わりに塩麹などを利用すると同様に柔らかく焼き上げることが出来ます。
ヨーグルトや塩麴などは鶏肉に限らず、他の肉や魚も、柔らかくしたり臭みを取ったりすることが出来ます。カレー粉をケチャップやソースなどバーベキュー風に変えたり、そのまま焼いてみたりするのもありです。タンドリーチキンに限らず、幅広く応用してみてくださいね。