沿線お役立ちコラム

ロートレックとミュシャ パリ時代の10年 @大阪中之島美術館

ロートレックとミュシャ パリ時代の10年

こんにちは!美術館博物館担当、チアフルライターの甲斐千代子です。

「ロートレックとミュシャ パリ時代の10 年」展が大阪中之島美術館で開催中です。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864-1901)とアルフォンス・ミュシャ(1860-1939)が芸術の都パリで活躍した 1891 年から 1900 年までの10 年間に焦点を当て、 石版画ポスターを中心に紹介しています。

フランス出身、油彩画も数多く手がけたロートレック、チェコで生まれパリで活躍し、デザイナーの肩書も持つミュシャ。直接の交流があったという記述は見つかっていないそうです。が、担当学芸員の平井直子さんは

・同じ展覧会に出品している

・同時期に同じ雑誌の表紙を飾っている

・印刷会社が同じ

・クライアントが同じ

・ロートレックが入り浸っていたカフェでミュシャが催しを開催

ということから、「積極的な交流はなかったが、お互いを知っていて意識していた間柄ではないかと推察される」そうです。

 

「良き時代(ベル・エポック)」の双璧をなす二人の実像に迫る展覧会へGo!

ロートレック 生涯残した全31点のポスターが勢ぞろい

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック

≪ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ≫1891

左 第2ステート  右 第1ステート

 

南フランスの伯爵家に生まれたロートレック。

1891年に第1号ポスターとなる《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》を制作します。

中央でスカートをたくし上げて踊るのはムーラン・ルージュのトップダンサーだったラ・グーリュ。

前面の男性は彼女のダンスパートナー、ヴァランタン。彼はしなやかな身のこなしから「骨なし」とのあだ名がついたそうです。

 

ロートレックがその生涯で残したポスターは31点、そのすべてを会場で見ることができます。

 

ところで、2つ並んだこのポスター、違いが判りますか?

キャプションには「第1ステート」「第2ステート」とあります。版画には一度印刷した後の版に手を加え、新たな彫りを得ることがあります。ひとつの版から複数段階の刷りが生まれる、この段階のことをステートと呼びます。

 

本展覧会では多くの作品で、ステート違いや試し刷りの段階のものも並べて展示されています。

極めて稀で貴重な機会とのこと。是非その違いも楽しんでみてください。

ミュシャの足跡をたどるに十分なコレクション展示

アルフォンス・ミュシャは1860年、チェコの南モラヴィア地方に生まれます。パリではデザイナーや挿絵画家として生計を立てていました。その人生が大きく変わるきっかけとなったのが大物女優サラ・ベルナールとの出会い。

 

舞台公演を知らせるポスター『ジスモンダ』は1895年の元旦にパリの街頭に貼り出されるやいなや話題をさらいます。

まさに、ミュシャの出世作となった作品です。

 

その他にも代表作がずらり。流麗な曲線から「線の魔術師」と呼ばれたミュシャのパリでの歩みをたどることができます。

お酒のポスターがずらり!

会場の後半には、お酒のポスターがずらり。ミュシャに影響を受けた作家の作品もあれば、逆に

ロートレックが石版画ポスターを始めるきっかけとなった作品もあります。

 

右のポスターに注目!なんとお酒のボトルを身にまとっています。

(一体何本あるんだろう… 1,2,3… 是非会場でお確かめください)

 

お酒の種類も気になります。アプサン酒(薬草系の緑色のリキュール。アルコール度数が高く、ロートレックやゴッホもこのお酒にハマったとか)にキナ酒(赤ワインにキナなどを混ぜた苦みの強いお酒)などなど。(飲んでみたい☆)

音声ガイドを無料で楽しめます

今回の展覧会、嬉しいことに音声ガイドが無料で楽しめます。会場入り口でQRコードを読み取ることで楽しむことができます。是非、スマホ用のイヤホンをご持参くださいね。

 

ナレーションは俳優の溝端淳平さんが担当しています☆

作品にまつわるエトセトラを紹介してくれます。必聴ですぞ☆

ロートレックとミュシャ展 2023年1月9日まで

ジャポニズムの影響を受けたロートレック、「みだれ髪」の与謝野晶子、与謝野鉄幹に影響を与えたミュシャ。

私たち日本人にとって、既視感というか親しみを感じる二人の作品、是非会場でお楽しみ下さい。

 

「ロートレックとミュシャ パリ時代の10年」

会期:2023年1月9日まで

月曜日(1/2、1/9を除く)、12/31、1/1休館

11月29日(火)より展示作品の一部が変わります

開催時間: 10:00~17:00(入場は16:30まで)

会場:大阪中之島美術館

観覧料:大人 1600円 高校生1300円 小中学生 無料

 

ロートレックとミュシャ パリ時代の10年 | 大阪中之島美術館

 

 

 

文/チアフルライター 甲斐千代子

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