沿線お役立ちコラム

古代エジプト人の生活や文化に迫る特別展「大英博物館ミイラ展」

最新のCTスキャンが解き明かす古代エジプトの謎

みなさんこんにちは!美術館・博物館担当、チアフルライターの甲斐千代子です。

世界最大級の古代エジプトコレクションを誇り、ミイラ研究をけん引してきた歴史の殿堂「大英博物館」が選りすぐった6体のミイラと約250点の貴重な遺物や資料により、ミイラの謎を解き明かし古代エジプト人の生活や文化を紹介する特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」が神戸市立博物館で開催中です。

 

王の娘の所領を管理していた役人、神像に日々の供物や呪文を捧げる神官、既婚女性、幼い子こども、6体のミイラは性別も年齢も暮らしていた年代も様々。彼らはどのような人生を歩んでいたのでしょうか。「食」「健康」「音楽」「家族」などのテーマに沿った展示物を交え、各ミイラの6つの物語を紹介しています。

 

もし、自分が古代エジプト人だったら… ミイラになることを希望するのだろうか… そんなことを考えながら、いざ会場へGO!

ミイラになった人たちの願い

そもそもなぜミイラが存在するのでしょうか。

 

古代エジプトでは肉体は滅んでも霊魂は生き続けると考えられていました。死後も体を適切に保存しておくことで、来世でも生き続けることができる。その適切な保存方法として「ミイラ」という手法をとっていたのです。作業はミイラ職人の手で行われ、上流階級の中でも支配階級の人々は大きな墓に(ピラミッドなど)、より下層の人々は小さな墓や集団墓地に埋葬されました。

 

今回の展示されている6体のミイラは、年代も性別も様々。包帯を解かず最先端のCTスキャンにかけ、1体につき約7000枚の画像を撮影、それを元に内部を3次元構築画像で復元しています。

 

6体のミイラの詳細な情報は会場でご覧いただくとして…

古代エジプトの死生観に関わる『死者の書』と『天秤』です。

 

「死者の書」には死んでから復活するまでの道しるべが書かれ、遺体とともに埋葬されました。

「天秤」は市場や神殿で実際に使われていたものです。

 

天秤にはこんな物語が…

『「死者の書」を手に、様々な試練を乗り越えてたどり着いた最後の時。魂が再び体に宿るためには、生前に正しいことを行っていなければならなかった。その判断、神による審判には天秤が使われた。片方に死者の心臓、もう片方には真実を表す「羽」をのせる。これが釣り合えば来世でも生き続けることができる。もしも、釣り合わなかったら… 』

 

良いことを積み重ねると心臓は軽くなり、悪いことをすると… さて、あなたの心臓は?

主食はパンとビール ワインは贅沢品 パンは虫歯の原因に

壁画のレリーフには、王が神へ飲食物を捧げている様子が描かれています。

3種類のパン、肉、ブドウの房が載った器が見て取れます。

そして、手前には4種類のパンが並びます。

 

古代エジプトではビールとパンが主食でした。

当時のナイル川など川沿いの地域は大穀倉地帯で大麦や小麦などが栽培されていました。

 

ビールは、必ずしもきれいとは言えない川の水から安全な飲み物を作る手段として麦をすりつぶして発酵させつくったもので、嗜好品ではなく日常的に飲まれていました。

濃厚で多くのたんぱく質とビタミンを含んでいたビールはまさに栄養源!

一方ワインは、高級品。原料となるブドウが栽培できる場所がエジプトの北部、ごく限られた地域だったこと、地中海のシリアやパレスチナで作られたものも輸送コストがかかり、国産、輸入品ともに貴重で高価なものでした。

 

パンは様々な種類が作られていたようですが、共通するのは原料となる小麦に砂粒が混じっていたこと。時には小石も入っていたそうです。そのままこねて焼き上げたパン、食べているうちに砂粒によってだんだんと歯はすり減り、小石を噛んだ時には歯が欠けることも!歯茎にもいいわけありません。

 

ミイラに歯の疾患が見られたのは、そういった食生活に原因があったようです。

エジプトの遊び 盛んだったボードゲーム

古代エジプト社会で最も重要だったのは「家族」でした。壁画や彫刻にも親と子の姿が頻繁に描かれています。

特に子どもは、一族の血筋を残す者、後世に伝える者として大切に扱われていたそうです。

 

子どもと言えばおもちゃ。

ネズミや車輪のついた馬の玩具は精巧で可愛らしく、いかにも子どもが喜びそうな品です。

 

画面中央にある長方体は木製のゲーム盤。中にはゲームの駒が収められています。

古代エジプトではこのようなボードゲームが盛んにおこなわれ、双六のようなものが多く、その中の一つ「セネト」はあのツタンカーメンもプレイしたとか。

カッサラ遺跡での発掘

展覧会最後のコーナーは1階ホールに設けられています。

本展監修者の一人、金沢大学 河合望教授の率いるチームが発掘中のカッサラ遺跡のカタコンベ(集団墓地)の原寸大の部分模型で再現されています。

通常は入ることができない発掘中の遺跡の内部、半分地面に埋もれた棺、積み重なった石、棺のそばに横たわる粘土を素焼きにしたテラコッタ像が!まさに!リアルな景色が目の前に!

 

実はこのエリア、取材陣も撮影禁止でした。それだけ貴重なのですぞ。詳細は是非会場でご確認下さい!

音声ガイド かいけつゾロリとのコラボも

展示品をじっくりと観察し、解説文やキャプション以外の情報が欲しい!という方には音声ガイド。

声優の島﨑信長さんが、時に古代エジプト人になりきってわかりやすく解説してくれます。

古代エジプトに頭のてっぺんまでどっぷりと浸かりたい方には、図録をおすすめします。

さらに、「かいけつゾロリ」とのコラボレーションも!会場内にはゾロリからのクイズがあり、QRコードを読み込みスマホで楽しめるようになっています。

古代エジプトの死生観と当時の人々の暮らしを感じる展覧会

古代エジプト人はなぜミイラになったのか、ミイラのCTスキャン画像の解析からわかることや、神々の像やミイラづくりの道具から当時の人々の死生観を垣間見ることができます。そして、様々な装身具や子どものおもちゃなどからは、当時の人々の生活が垣間見えます。

 

特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」

神戸市立博物館

会期:5月8日(日)まで

開館時間:9時30分~17時30分(金曜・土曜は19時30分まで)

※入館は閉館の30分前まで

休館日:毎週月曜(ただし3月21日と5月2日は開館)3月22日(火)

 

https://daiei-miira.exhibit.jp/

 

文/チアフルライター 甲斐千代子

→ 甲斐千代子の過去の記事はこちら

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