沿線お役立ちコラム

腸を守ろう!

腸を守ろう!

 秋といえば、「実りの秋」。私も大好きなシーズンです。この時期はおいしいものがたくさんあり、思わず誘惑に負けてしまうこともしばしば(栄養士も人間ですから…)。そんな食べ物を消化する「胃袋」が大切なのはもちろんですが、「腸」も大切な臓器であることをご存じですか? 腸は「体内で最大の免疫器官」です。腸を守ってあげるとお通じや肌の調子が良くなったり、免疫力が上がったりします。特に、これからのシーズンはインフルエンザなどの感染症が流行りやすい時期なので、免疫力を上げておきたいですね。
 ここ数年、「腸活」という言葉が流行っています。白湯を飲んだり、体操やマッサージをしたり、腸内環境を改善する成分を食事に取り入れたりするなど、腸活の方法はたくさんあります。ということで、今回は腸内環境について学んでいきましょう。

腸の働きと腸内細菌

 腸は小腸で栄養を吸収し、大腸で便を作って排泄することはみなさんもよくご存じだと思います。そして、前述したように、腸は「体内で最大の免疫器官」としての働きがあります。腸には全身のリンパ系組織の60%が集まっているので、悪い菌を追い払い、もし入ってきても抗体を作ってやっつけます。

 小腸・大腸に限らず、人間の腸内には約1000種類・100兆個の細菌がいるといわれています。腸内細菌の中には「善玉菌」「悪玉菌」をはじめ、体力があるときは何でもないですが身体が弱ると悪玉になってしまう「日和見菌」などが共存しています。これらは「腸内細菌叢(さいきんそう)」(※別名「腸内フローラ」)といって、身体に悪影響が出ないように腸の中で維持されています。アレルギーや炎症があったり、食事内容や生活リズムが崩れたりすると影響を受け、免疫力低下などが生じます。

 「悪玉菌」は肉類などのタンパク質を分解し、便として排泄する役割があります。脂肪が多かったり、食物繊維が少なかったりと食事が偏ることで悪玉菌が増えすぎると、肥満や大腸がん、炎症性腸疾患、糖尿病、動脈硬化症などを引き起こすといわれています。

 それに対して「善玉菌」は腸の中で酸を作り、腸内を酸性にすることで悪玉菌の増殖を抑えたり、ビタミンB1・B2・B6・B12・K・ニコチン酸・葉酸を産生して腸内環境を守ったりします。また、善玉菌の菌体を構成する物質には免疫力を上げる成分「バイオジェニックス」(※)があり、腸を守るものとして最近注目されています。

 

※乳酸菌体ペプチド(生きた菌ではなく善玉菌の菌体が働いてできるもの)や、植物性フラボノイド、DHA・EPA、ビタミンA・C・Eなど、腸内フローラを介さないもの。

腸内環境をよくするには?

 規則正しい生活リズム、睡眠の確保が大事です。食事の面では「主食+主菜+野菜」のバランスの良い食事を心がけ、さらに腸内環境をよくするために

 

「バイオジェニックス」

「プレバイオティクス」(水溶性食物繊維やオリゴ糖など腸内細菌の栄養になるようなもの)

「プロバイオティクス」(ヨーグルト・納豆・発酵食品や整腸剤など善玉菌の生きたもの)

●上記2つを合わせた「シンバイオティクス」

 

などを取り入れるのもよいでしょう。

 

 新型コロナウイルスの感染状況も少し落ち着いてきましたが、まだまだ油断は大敵です。バランスの良い食事を心がけたり、簡単な「シンバイオティクス」を取り入れてみたりしませんか?

 

<今回のレシピ>

  簡単・王道・シンバイオティクス!

  シリアルバナナヨーグルト

 

  材料 

  バナナ      1/2本

  グラノーラ    大さじ2

  ヨーグルト    大さじ2 

  砂糖(適宜)

 

 

ちょこっとpoint

「プレバイオティクス」と「プロバイオティクス」を合わせた「シンバイオティクス」レシピです。

・バナナ=オリゴ糖=プレバイオティクス

・グラノーラ=水溶性・不溶性食物繊維=プレバイオティクス

・ヨーグルト=プロバイオティクス

 

 最近はオートミールなども流行っています。オートミールは、水に浸してレンジにかけるだけで食物繊維豊富なごはん代わりの主食になり、カレーや親子丼、中華丼の具をかけて食べたりしますが、これも「プレバイオティクス」の一つです。また、納豆やキムチと併せて食べると、乳酸菌も取り入れられるので「シンバイオティクス」にもなりますよ!