食事で疲労回復!
突然ですが、皆さんは「疲れた時に決まって食べるもの」はありますか?「そのときに食べたいものを食べる」「特にこれと言って思い浮かぶものがない」「『疲れた時にはこれ』と決めているものがある」など、人によってさまざまだと思います。
そこで、今回は「疲労回復に効果がある食事」についてご紹介します。
そもそも疲労とは?
人間が活動する際は、エネルギーを産生すると同時に“活性酸素”を作り出します。活性酸素は、細胞内にある抗酸化作用を持つ物質(※次項目参照)によって消去されるものですが、その物質が減って抗酸化作用が低下すると活性酸素が細胞を傷つけてしまい、細胞の機能が低下して疲労につながります。
また、食事摂取量の減少やビタミン類の不足などで効率よくエネルギーを産生できないことも、疲労の原因の一つになります。
疲労回復に良いとされる食べ物
疲労回復に良いとされる栄養素とそれらを含む食材について紹介します。
※食材の後にあるカッコ内の数字は、人間が1日で必要分を満たすための推奨量、または目安量(ほぼ不足が起こらない量を含有する食品量)です。
① 炭水化物をエネルギーに変える「ビタミンB1」
推奨量 1.1~1.4mg
豚肉ヒレ(140g)・ウナギ(特大1匹)
② 抗酸化作用がある「ビタミンⅭ」
推奨量 100mg
グレープフルーツ(1玉)・いちご(5~7個)・キウイ(中サイズ2個)・なのはな(お浸し1回分程度)・ブロッコリー(8房程度)・カリフラワー(12房程度)など
③ エネルギーを作り出す回路を効率よく働かせる「クエン酸」
推奨量 1~2g
レモン(1/2個)・ミカン・グレープフルーツ(1/2個)・梅干し(1~3個)・お酢(10~20ml)
④ 脂肪酸をエネルギーに変える「パントテン酸」
目安量 6mg
鶏レバー(60g)・豚レバー(83g)・牛レバー(94g)
⑤ 抗酸化作用がある「イミダゾールジペプチド」
推奨量 200mg
鶏胸肉(22g)・かつお(50g)・まぐろ(37g)など
また、疲労回復に良い栄養素として注目されているものには、以下のようなものもあります。
⑥ 栄養素をエネルギーに変える効果と抗酸化作用がある「還元型コエンザイムQ10」
推奨量 100mg
いわし・豚肉・牛肉・オリーブオイル・ブロッコリーなど
⑦ 脂肪酸をエネルギーに変える「Ⅼ-カルニチン」
目安量 1g
ヤギ肉・ラム肉・牛肉・豚肉・岩ガキなど
⑧ 抗酸化作用がある「アスタキサンチン」
推奨量 6mg
鮭・いくら・エビ・カニなど
いずれも、食品中には含まれているものの、普通に食べる量としてはなかなか推奨量に届きません。そのため、サプリメントとして売られていることも多いですが、普段から上記の栄養素が含まれる食品を意識的に食べるのも良いでしょう。
夏場は食欲が低下しがちで、ついつい冷たい麺やアイスなど食べやすいものを選ぶことが多くなります。そういった食事もたまには良いのですが、体力の回復を促すためにも、前述に記載したような食品もぜひ摂取してみましょう。
ただし、食品にはメリットのある成分だけでなく、コレステロールや糖質など過剰に摂取すると良くないものも同時に含みます。偏った摂取は控え、常用量の範囲内で普段の食品の一部に取り入れてみるようにしましょう。
<今回のレシピ>
抗酸化物質がたっぷりとれるフレッシュサラダ
材料 4人前
ブロッコリー 20~30房ぐらい
レタス 4~5枚
ミニトマト 3~4個
生ハム 小7枚
グレープフルーツ 1/2個
〈ドレッシング〉
オリーブオイル 大さじ2
市販の合わせ酢 大さじ2
グレープフルーツジュース 適宜
レモンペースト 適宜
塩・胡椒 適宜(お好みで)
作り方
ブロッコリーはゆでて房を分けておく。
ミニトマトは縦4等分に切る。
グレープフルーツは皮をむいておく。
生ハムは1/3カットにする。
準備ができたらレタスと一緒に盛り付ける。
ドレッシングを作ってかける。
ちょこっとpoint
上記レシピのブロッコリーとレタス、生ハムの量は、コンビニのカットサラダや冷凍パックと同程度の量です。暑い夏にも涼しさを感じられるよう、今回も火を使わず、味付けも簡単にしてみました。
生ハムの塩気があるので、ドレッシングの塩はなくても大丈夫です。
ドレッシングの基本はオリーブオイルとお酢が1:1です。グレープフルーツがすっぱく感じるなら、お酢を市販の合わせ酢に、甘ければ普通のお酢にするなど、お好みによって変えてみてください。また、グレープフルーツをむく際に、余った果肉や果汁をドレッシングに合わせてみてもおいしくなります。
食感が欲しいときは、ナッツ類やクルトン、フライドオニオンなどを乗せてみるのもおすすめです。昼食としてなら、エネルギーも確保できます。さらに、生ハムはマグロのお刺身やサラダチキンに変えると、イミダゾールジペプチドの摂取量を増やすこともできます。
(参考文献:「臨床栄養」2021年6月号 第138巻・第7号 医歯薬出版株式会社)