食塩摂取量の現状は?
日本の「和食」は無形文化遺産に登録されるほど、伝統的で素晴らしい食文化ではありますが、一方で醤油や味噌といった和食に不可欠な調味料や干物や漬物といった塩蔵品によって食塩の多い食事内容となり、日本人の食塩過剰摂取の原因となっています。
ここ最近はスーパーへ行くと減塩醤油や減塩味噌、減塩だし等数多くの減塩食品が売られており、国民の減塩意識の高まりから、食塩摂取量は低下傾向にあります。
しかしながら、日本人の食塩相当量の目標量は1日男性7.5g未満、女性6.5g未満(日本人の食事摂取基準 2020年版より)に対して実際の食塩摂取量は1日男性11.0g、女性9.3g(国民健康・栄養調査 平成30年度より)とまだまだ目標には達していない現状です。
実際、当院でも上記の目標量に沿った病院食を提供していますが、患者さんからは「味が薄い」とのご意見を頂くことが多く、理想と現実の差を感じる日々です。
食塩ってそんなに体に悪いの?
食塩の主成分は「塩化ナトリウム」といわれる物質であり、ナトリウムは私たちの生命の維持には必要不可欠です。
しかし、日常的に摂り過ぎると、血液中に増えたナトリウムを薄めるために、血管内に水分が増えます。すると、血管の内側は高い圧力にさらされ(=高血圧)、この状態が持続すると動脈硬化を引き起こします。
この動脈硬化は、脳梗塞や心筋梗塞等の血管疾患のリスクとなり、また、食塩摂取過剰は胃がんなどのリスクも高めます。
ですから、それらの疾病の予防として減塩が重要なのです。
外食でも減塩できるの?
外食にて減塩を実践するためにはまず、よく選ぶメニューに含まれる食塩の量を知ることが大事です。
◎ 外食のメニュー別食塩相当量の目安
うどん 5.5~6.2g
ラーメン 6.0~7.2g
牛丼 2.0~3.0g
カレーライス 2.7~3.7g
ハンバーガーポテトセット 2.8~3.8g
唐揚げ定食 4.8~6.9g
ハンバーグ定食 5.0~6.6g
このように、外食は塩っ辛い味が好みの日本人の舌に合うよう、味付けの濃いメニューが大半です。しかし、外食でもメニューの選び方や食べ方を工夫することで、減塩が可能です。
1食あたり食塩相当量男性2.5g未満、女性2.2g未満を目指しましょう。
外食における減塩のポイント
☆麺の汁、味噌汁の汁は残す
汁には食塩がとてもたくさん含まれています。麺の汁を残すことで食塩がおおよそ半分カットできます。味噌汁には約1.5gの食塩が含まれていますので、具のみ食べるようにするとよいでしょう。
☆漬物を食べない
漬物は少量でたくさんの食塩が含まれています。梅干しを1個残すと約2g、たくあんを2切れ残すと約0.6g減塩できます。残す勇気を持ちましょう。
☆醤油や塩、ソースは追加しない
醤油小さじ1杯に食塩0.9g含まれています。出てきた料理にさらにかけ醤油やかけ塩をするのは避けたほうがよいでしょう。どうしても使いたい場合は「かける」より「つける」ことをおすすめします。そして、量は“ほんの少量”にしましょう。
☆香辛料を利用する
塩や醤油をかけないと味が物足りないと感じるときは、それらではなく、こしょうや山椒、唐辛子、わさび、からしといった食塩の含まれない(あるいは少ない)調味料を利用することで塩味に変わるアクセントとなります。
☆一品メニューは避けて、定食を選ぶ
麺類、ファストフード、丼ものといった単品メニューは食塩が多く、主食中心でバランスも偏りがちです。一方、定食であれば全体の食塩が多くても引き算しやすいです。上記のように定食についてくる汁や漬物を残す、醤油かけない等で減塩できます。
☆食べ過ぎない
当然ですが、味のついた料理の食べる量が多いと食塩の摂りすぎにもなります。腹八分目を意識しましょう。
☆食塩相当量の表示を確認する
大手外食チェーン店であればホームページや店内のメニュー表にて栄養価を記載しているところが多いです。チェックしてみましょう。
外食がいけないわけではありません。以上のポイントを是非参考にして、外食を楽しみながらも減塩を意識できるとよいですね。
おうちで実践!減塩レシピ
~ トマトジュースで煮込む減塩カレー ~
食塩の多いルウを少な目にする代わりに、香味野菜で香りを立たせ、トマトジュースでとろみとコクを出すのがポイントです。ルウのみで作るカレーに比べるとあっさりしていますが、トマトジュースの酸味とスパイスの辛さのバランスを、よく舌で味わいながらお召し上がりください。お好みの具材でアレンジしてもよいでしょう。
材料(5-6人前)
牛肉 200g
かぼちゃ 1/4個
たまねぎ 1個
マッシュルーム 3個
生姜 1/2片
にんにく 1片
トマトジュース(食塩無添加) 500mL
水 1カップ
カレールウ 4人前(約80g)
カレー粉 大さじ1杯
油 小さじ2杯
作り方
① 牛肉は食べやすい大きさに、かぼちゃは一口大に切り面取りをする。たまねぎはくし形に切り、
マッシュルームは2mmほどの厚さにスライスする。生姜、にんにくはみじん切りにする。
② 鍋に油、生姜、にんにくを入れ、火をつける。生姜とにんにくが焦げないよう弱火で熱し、香りを油に移す。
③ ②に牛肉を入れ強めの中火で炒める。火が通ってきたら、たまねぎ、マッシュルームも加えて炒める。
④ 具材に油が回ったら、トマトジュースと水を加える。
⑤ 沸騰したらあくをとり、かぼちゃを加える。蓋をして弱火で15分ほど煮込む。
⑥ 具材に火が通ったら、一旦火を止め、カレー粉とカレールウを加える。
⑦ 再び火をつけ、とろみが出れば完成~♪
(1人前あたり食塩相当量1.8g)