沿線お役立ちコラム

「ハーグ派」と「印象派」ゴッホを変えた出会い 『ゴッホ展』 兵庫県立美術館

ファン・ゴッホ 約10年の画家活動で2000点余りの作品を残す

こんにちは!美術館・博物館担当、チアフルライター甲斐千代子です。

 

フィンセント・ファン・ゴッホは1853年オランダ南部の村フロート・ズンデルトに牧師の子として生まれます。

画商や牧師見習いを経て、画家を志したのが27歳の時。37歳で亡くなるまでの約10年で、2000点余りの作品を生み出しました。

 

ゴッホの作品は、居住地が変わるたびに変化します。現地の画家や人々との交流がその作風に影響を与えました。

今回ご紹介する「ゴッホ展」には、世界10か国27か所から集められたゴッホの作品約50点と、彼に影響を与えた作家の作品約30点が展示されています。

ゴッホが家族や友人と交わした手紙からことばを引用し、その交流の様子も紹介されています。

ゴッホを変えた出会い① ハーグ派

「ゴッホのイメージと違う…」会場に入ってこう感じました。

 

灰色や茶色を基調としたシックな色合い、ハーグ派の作品です。

ハーグ派は、19世紀後半のオランダ南西部の町ハーグを拠点に活動していた画家たちのグループで、眼で見たものをそのまま描写するよりも、雰囲気やその瞬間の印象を伝えることに関心をもっていました。

 

ハーグ派の中心人物アントン・マウフェは、ゴッホの従姉妹の旦那さん。その縁で、ゴッホはマウフェから画家としてのイロハを学び、ハーグ派の画家たちから影響を受けることとなります。

ゴッホを変えた出会い② 印象派

33歳の時、ゴッホは弟テオを頼ってパリに移り住みます。

(頼るというより、予告もなく強引に押し掛けたというのが事実に近いようです)

 

そのころパリで活躍していたのがクロード・モネ、カミーユ・ピサロといった「印象派」の画家たち。

彼らは絵具を原色のまま、素早い筆づかいでキャンバスに重ねる技法で、空間と時間による光や色の変化を表現しました。

 

初めて目にする印象派の作品にゴッホは大きな衝撃を受けます。そして、原色を使った明るい画面作り、筆の動きをそのまま残すような描き方を取り入れたのです。灰色の世界から鮮やかな原色と光の世界へ。ゴッホの作風は劇的な変化を遂げていきます。

やっぱり月と猫

展覧会を楽しむ上でおすすめしているのが、自分の好きなモチーフを作品の中に見つけること。

今回も、発見しました!「月」と「猫」

 

ゴッホの作品≪糸杉≫(画像右)には三日月が描かれています。

 

魅力的な姿…月にはどんな意味が?ゴッホが目にした風景をそのまま描いたものなのかしら…

 

県立美術館の小野学芸員によると

「実はこの作品についてはまだファン・ゴッホ作品の中では比較的研究が進められていないそうなので、多様な考察ができるかと思いますが、ファン・ゴッホの制作態度から考えるに、基本的な要素(糸杉が2本あって、背景に山があって、三日月も出ていて、など)はその時に見えた風景だったかと思いますが、そこにはファン・ゴッホが受けた印象が盛り込まれていますので、『そのまま』かというとそうではなかったのではと思います」

 

なるほど、風景を見たときのゴッホの印象…大きくくっきりとした三日月、ゴッホはどんな思いを込めたのでしょうか…

 

そして、もう一つ注目したのはアドルフ・モンティセリの≪猫と婦人(猫の食事)≫テーブルの上と下、ふさふさ尾っぽの優雅な白猫。ぜひ会場でご覧ください。

 

…ん?描かれている猫は2匹ですよね?ね?…

音声ガイドに、「こどものための鑑賞ガイド」、グッズも充実、楽しみ方色々

今回の展覧会、ぜひ音声ガイドをおすすめします。ナビゲータは女優の杉咲花さん。そして、ゴッホの弟テオ役には声優の小野賢章さん。

 

弟テオの台詞は実際の手紙に基づいて描かれています。これが、心にジーンと響きます。感動の物語もぜひ味わってください。

 

「こどものための鑑賞ガイド」のテーマはいろんな絵を比べてみよう。ぜひチャレンジを!

会場出てすぐのショップには、図録や絵ハガキ、さらにはキャラクターや商品とのコラボグッズがずらり。こちらも注目してください。

ゴッホの人生を追いかけて

今回の「ゴッホ展」のみどころについて小野学芸員は

「ファン・ゴッホの画業の初期から晩年にいたるまでの作品を展示しています。独学から始めた画家の道を、ハーグ派や印象派の影響を受けながら歩み、よく知られた画風を確立するまで進んでゆく様子をぜひご覧ください。また、イスラエル博物館蔵の≪アニエールのヴォワイエ・ダルジャンソン公園の入り口≫≪麦畑とポピー≫やアイルランド・ナショナル・ギャラリー蔵の≪パリの屋根≫は記録に残る限りでは日本初公開になります」

 

ゴッホの作品を通して、その人生を感じてみてください。

「ゴッホ展」

兵庫県立美術館

会期:2020年1月25日(土)~3月29日(日)

休館日:月曜日

(ただし、2月24日(月・祝)は開館、翌25日は閉館)

開館時間:午前10~午後6時

(金・土曜日は午後8時まで)

 

  • 学芸員による解説会

2月22日(土)、3月14日(土)、28日(土)

各日午後4時~(約45分)

会場:レクチャールーム(定員100名)

※聴講無料、定員に達し次第締め切り

 

  • おやこ解説会

3月14日(土)午前10時30分~(約30分)

会場:レクチャールーム(定員20組)

 

ゴッホ展 兵庫県立美術館HP

 

文/チアフルライター 甲斐千代子

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