沿線お役立ちコラム

『機動戦士ガンダム』の生みの親「富野由悠季の世界」展 @兵庫県立美術館

初監督作品『海のトリトン』から最新作『ガンダム Gのレコンギスタ』まで

こんにちは!美術館・博物館担当、チアフルライターの甲斐千代子です。

「富野由悠季」アニメ好きの間では知らない人はいない、と思う。また、それほど興味がなくても、『機動戦士ガンダム』の監督、生みの親、言えばうなずく人は多いはず。絶大な人気を誇るアニメーション監督です。

 

1941年11月生まれ。大学卒業後、アニメ制作会社虫プロダクションに入社し『鉄腕アトム』の演出を担当。初監督作品は1972年の『海のトリトン』。1979年の『機動戦士ガンダム』を経て『伝説巨神イデオン』『聖戦士ダンバイン』と名作を手掛け続け、最新作『ガンダム Gのレコンギスタ』 に至ります。55年にわたる彼の仕事を紹介、作品に込められたメッセージや考え方、概念を探る展覧会です。

 

富野監督本人の企画書や自筆の絵コンテはもちろん、彼と仕事をともにしたクリエーターたちのデザイン画やセル画など約3000点が並びます。

まさに、富野作品の玉手箱やあ♡状態です。

作品に影響を与えていた少年時代

富野監督の父親は軍需工場で戦闘機のパイロットが着用する「与圧服」の開発研究に携わっていました。

軍需工場で生まれた最新の科学技術は未来を感じさせると同時に、戦争の悲惨さは少年の心に大きな影響を与えたのではないでしょうか・

 

富野少年の関心のありかは描いた絵からも読み取れます。

宇宙船のコクピットは、人が宇宙に出るとはどういうことなのか、考えるきっかけとなったイラストを模写したものです。

 

チャンバラを描いた絵も注目です。富野作品では巨大ロボットが剣と剣を交えるシーンが頻繁に出てきます。かっこいい殺陣のシーンには子供の頃の記憶が礎としてあったのかもしれません。

人の死を目の当たりにして、それでも人は生きていかねばならぬ。 少年の成長物語

主人公はどこにでもいそうな少年。

「ガンダム」以前のロボットアニメに特有だったかっこいい熱血漢の男前主人公とは違うキャラクター。

戦うことに疑問を持ち、悩み、時には逃げ出してしまう。リアリティあふれる少年です。(それほど男前でもない…)

 

『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイは偶然ロボットに乗り込んだことから自分の意思と関係なく戦争に巻き込まれていきます。優柔不断な赤毛クリクリのメカおたくの少年は、やがて自分の役割に気づき、新たな人類の可能性ニュータイプとして目覚めていきます。

 

『機動戦士ガンダムZZ』のジュドー・アーシタは、妹との生活の為お金を稼ぐためにガンダムに乗り込みます。生きる糧を得るためにパイロットになった少年は、大人たちの非人道的な行為に対しての素直な怒りから、戦争を終わらせることに使命を感じるようになります。

 

戦争という非日常の中で、大切な人を失い涙しても、それでも人は生きていかねばならぬ。少年の成長物語の奥に、監督のメッセージが垣間見えるような気がします。

覚悟せよ! 映像だけで4時間超え 

会場内ではたくさんの映像が流れています。

作品の中で、特に監督のメッセージが込められていると思われるシーンがセレクトされています。

 

『伝説巨神イデオン』のラスト、人類が死に絶えた後、すべての魂が溶け合い新たな命の源となっていくシーンが特殊加工された映像で印象的に描かれます。(バックに流れる音楽がまたいいのです)

 

『重戦機エルガイム』の最終話。メインキャストはほぼ生き残ったものの、主人公ダバ・マイロードにとっては明るい未来とは言えない幕引きとなります。

 

映像だけで約4時間あるそうです。覚悟してください。

富野監督の思い

開会式の日、富野監督は

「今回の企画に感謝しています。社交辞令ではありません」と話しました。

 

また、展覧会のオファーがこれまで一切なかったと明かし、展覧会への思いについては

「ここ数年、アニメや漫画の展覧会が開かれるようになった。これは時代性だと思う。今回の企画は、アニメーターやデザイナーではなく映画監督の展覧会というのが奇妙だったが納得もした。コンセプトや概念、テーマを提供する監督という立場があってこそ作品が作れるということを、今回こういう形でアピールできれば、今後、映画監督の志望者が増えるかもしれないし、社会的認知が進むかもしれない。その礎になればうれしい」と熱く語りました。

 

深い!深いです!!富野監督!!

関連イベント盛りだくさん 音声ガイドも必聴です

展示作品3000点以上、映像作品4時間超え。

大量の情報の波にのまれないようにするには!理解の助けとなるのが音声ガイドです。

最新作『ガンダム Gのレコンギスタ』 のベルリ・ゼナム役の石井マークさんと、アイーダ・スルガン役の嶋村侑さんが担当しています。

 

そして、関連イベントも目白押し。会場の県立美術館では担当学芸員によるギャラリートークやミュージアムボランティアによる解説会が行われます。関西7つの会場で富野由悠季監督作品のリレー上映が行われます。

詳細は展覧会の公式HPで。

展覧会概要

「富野由悠季の世界」

 

兵庫県立美術館

会期:12月22日(日)まで

休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合翌日火曜日が休館)

開館時間:午前10時~午後6時

(特別展開催中の金・土曜日は午後8時まで)

入場料:一般1400円、大学生1000円、高校生以下無料

 

兵庫県立美術館HP

富野由悠季の世界HP

 

 

ガンダム世代のあなたも、ガンダムを知らないあなたも是非足をお運びください。

 

あなたは人類という存在に、希望を見出しますか?それとも絶望を感じますか?

富野監督からのメッセージを是非心と体で受け止めてください。

 

文/チアフルライター 甲斐千代子

→ 甲斐千代子の過去の記事はこちら

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