沿線お役立ちコラム

安藤忠雄建築の常設展「Ando Gallery」 兵庫県立美術館に新名所が登場

安藤忠雄さんの秘密がいっぱい 「Ando Gallery」

こんにちは!チアフルライターの國松珠実です。

実は世界遺産が大好きで、世界遺産検定1級を持っている私。

中には、建築を評価されている物件も多いので、ざっくりと「建築」にも興味があります。

そんな私が今回ご紹介するのは…

みなさんは、建築家の安藤忠雄さんをご存知でしょうか。

国内はもちろん、世界中に多くの作品がある建築家です。

彼の設計した建物の特徴は、コンクリート打ちっぱなしのシンプルなデザイン。

広やかで静かな室内を一筋の光が照らすなど、空間と光の演出が美しい「安藤建築」は、一般の人たちや海外からの人気も高いです。

兵庫県立美術館の建物も安藤建築のひとつです。

そんな美術館に5月23日、「Ando Gallery」がオープンしました。

安藤忠雄設計事務所が寄贈した2フロアのギャラリーが、ただの空間だった美術館の展示棟と展示棟の間に、まるで宙に浮くような形で造られました。

同じ建築家の設計だからか、後から増設されたにも関わらずしっくりと馴染み、まるで最初からそこにあったかのようです。

Ando Galleryへの行き方

Ando Gallery(以下ギャラリー)の出入り口は2ヶ所あります。

行きやすいのは、円形テラスにある渦巻き状の階段を上りきったフロアから入る行き方。

ギャラリーの1階から入ることができます。

ほかにもエレベーターを使って、2階から入る方法もありますよ。

内部は順路がなく、好きなだけ自由に観て回ることができます。

何があるの? 展示テーマは3つ

展示は、3つのセクションで構成されています。

まずギャラリー1階から入って目の前にあるのが、兵庫県立美術館の大きな模型!

ここは、「兵庫/復興」セクションです。

兵庫県内にある安藤さんの代表作のほかに、阪神淡路大震災の復興のために行った活動やプロジェクトを紹介しています。

2004年に完成した兵庫県立美術館とその周辺も、震災復興プロジェクトの1つなんですよ。

「これ、CAD(キャド)を使って描いているのかな」「いやあ、手書きでしょう」と、建築に詳しそうなご夫婦が楽しそうに会話を交わしていました。

ギャラリー内は写真撮影自由です。

さまざまな角度から模型や製図の写真を撮る若者たちや、一人黙々と見て回る男性など思い思いに楽しんでいる様子が印象的でした。

「住吉の長屋」や「光の教会」模型が

安藤さんは公共施設のほかに、個人住宅も数多く手がけています。

テーマは「原点/仕事」

ここには初期の代表作で1976年に竣工した「住吉の長屋」(大阪市住吉区)と、1989年に竣工の茨木春日丘教会「光の教会」(大阪府茨木市)の大型模型、そのほか個人住宅の模型が時系列にズラリと並んでいます。

特に「住吉の長屋」は、中に中庭を設けたことで「雨が降ると、トイレに行くのに傘がいる」間取り。

毎日の天気や季節を感じられるユニークな造りです。

このようにそれまでの常識を超えた発想が注目され、1979年に日本建築学会賞を受賞しました。

これが、安藤さんの実質的なデビュー作となったのです。

さて、ギャラリー2階へ通じる大階段を上ってみましょう。

最新のプロジェクトを知ることができる2階フロア

安藤さんの事務所「安藤忠雄建築研究所」の模型を横目に、大階段を上ってギャラリー2階へ。

階段を上がると、目の前に壁一面にぎっしり書籍が詰まった本棚が!

安藤さんの仕事場をイメージしたものだそう。

その前には、香川県直島のベネッセハウスミュージアムや、地中美術館などの模型が展示されています。

さらに進むと、巨大な三角形の模型が置かれていました。

イタリア、ヴェニスの中心にあるサン・マルコ広場。

その対岸にある現代美術館「プンタ・デラ・ドガーナ」です。

15世紀以来そこにあった歴史的建造物に、安藤さんは新たな命を吹き込みました。

今では有名な観光スポットになっています。

ほかにもフランス、パリのドーム型天井が印象的な現代美術館「ブルス・ドゥ・コメルス」や、大阪・中之島に建設予定の「こども本の森」の模型などが展示されています。

建築に詳しくなくても大丈夫!

紹介とともに、なぜこのような設計を考えたか、どういういきさつだったかなど、「建物の物語」が詳しく書かれています。

安藤さんの熱意が伝わってくるようで、彼の人気の秘密が分かる気がします。

絶好のフォトスポットは…

ギャラリーにいる間、ちらちらと見える窓の向こうの青りんごが気になります。

近くに人もいるし、私も行ってみたい!と係の人にたずねると「ギャラリーの2階から出て、左へ回ってください」とのこと。

なんなくたどり着きました。

「海のデッキ」に、巨大な青りんごのオブジェ!

絶好のフォトスポットです。

こちらも安藤さんの作品なのですが、なぜ青りんごなのでしょうか。

「青春とは人生のある期間ではない 心のありようなのだ」と謳ったサミュエル・ウルマンの詩を紹介しながら、安藤さんは…

困難な現実に立ち向かう挑戦心や、逆境でも諦めない心のたくましさは、「内なる若さ」だ。

身体が年齢を重ね知性が習熟しても、「内なる若さ」さえ失わなければ、人は老いることなく生きられる。

赤く熟したりんごではなく、未熟で酸っぱくても、明日への希望に満ちあふれた青りんごは永遠の青春。

私たちが目指す精神の姿だ、と語っています。

あなたはどう感じる? 安藤建築の魅力を探ってみよう

特別展のない平日は1日200名弱が来館するそう。

ギャラリー目当てに訪れる人も多いそうです。

しかし特別展の開催期間は、1日700名ほど来館した日もあったとか。

兵庫県立美術館では、6月1日から7月21日まで『印象派からその先へ』が開催中。

モネやルノワールなど、日本でも人気の画家の作品が鑑賞できるとあって、来館者が増えることが予想されます。

Ando Galleryもますますにぎわいそうですね。

展示内容は、当面変わらないそうです。

安藤さんが設計した美術館で、安藤建築の秘密を探りに、ぜひ訪れてみてください!

施設概要

 ■兵庫県立美術館

・所在地
兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目1番1号
・アクセス
阪神電鉄岩屋駅から南へ徒歩約8分
くわしいアクセスはこちら
・開館時間:10:00~18:00
(特別展開催中の金・土曜日は20:00まで、入場は閉館30分前まで)
・月曜日(祝休日の場合は翌日)
12月31日、1月1日、メンテナンス休館日(2020年1月2日~1月10日)
※県立美術館と同じ
・観覧料:無料

文/チアフルライター 國松珠実
→ 國松珠実の過去の記事はこちら

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