沿線お役立ちコラム

もしかして、それ、冬の「脱水症状」かも?~「かくれ脱水」予防法~

皆さん、こんにちは。兵庫医科大学病院 小児科の服部益治です。

空気が乾燥して肌もかさつく冬は、夏のように目に見える発汗が少ないので、
「脱水症にはならない」と油断している方も多いと思います。そこで今回のコラムでは、
女性は特に注意が必要な「脱水」について解説します。

「脱水症」って何?「かくれ脱水」って?

人間の身体の中で、水分は体重の約60%を占めると言われており、例えば体重が50㎏の人なら、水分が約30Lも占めていることになります。
このうち、水分を3%以上失った状態を「脱水症」(病気)、3%未満失っている状態を脱水症の前段階である「かくれ脱水」と言います(※参考:『教えて!「かくれ脱水」委員会』)。
身体の中で、最も水分が多いのは「筋肉」。つまり、筋肉質な男性に比べると、筋肉量の少ない女性の方が脱水症になりやすいわけです。また、同様の理由で、筋肉が発達段階の子どもや、筋肉量が減少していく高齢者も「かくれ脱水」のリスクが高くなります。

冬の脱水症の危険(冬脱水SOS)

乾燥によって湿度が下がると、気づかないうちに皮膚表面から失われる水分「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」の量が増えます。
不感蒸泄は「見えない汗」とも言われ、1日に900mlも身体から放出されていますので、
日頃の水分の出納バランスが健康維持のポイントになるのです。(※図参照)

また、暖房器具(エアコン・ホットカーペット・こたつ)のある冬場の室内は、屋外よりも湿度が下がりやすいので注意が必要です。身体にとって快適な湿度は50~60%ですが、冬場の湿度はそれ以下になることが少なくないため、身体は常に潤いを求めているのです。

 

脱水症の気付きと予防

脱水症に気づくためのサインには、次の3つがあります。

1. 口の中が粘ついていないか?
(唾液量の減少で口内がべたつく)
2. 爪の先を押した後、爪の赤みがすぐに戻るか?
(水分が不足すると血流が悪くなり、ピンク色に戻るのが3秒以上かかる)
3. 手の甲の皮膚を引っ張り上げた後、すぐに元に戻るか?
(肌の弾力が減ると元に戻る時間が遅くなる)


脱水症の予防には、やはり水分補給が大切です。
最低でも1日に1,200mlの水分補給を行ってください(※上図参照)。食事の時以外にも、
1回につき100~200ml程度の水分補給をこまめに行うと良いでしょう。また、寝る前の1杯、
起きた直後の1杯の水分摂取が「脳梗塞」や「心筋梗塞」の予防にもなるので実践してみてください。
もしも、インフルエンザの高熱による大量の発汗や、ノロウイルス性胃腸炎(お腹の風邪)
による嘔吐や下痢で水分を失った場合は、十分な電解質を含んだ経口補水液(消費者庁許可OS-1)を摂取すると良いでしょう。

 

この記事を書いた人
服部 益治
兵庫医科大学病院 小児科 教授