兵庫医科大学病院 糖尿病・内分泌・代謝内科の濱本佳恵です。
バセドウ病とは、甲状腺ホルモンが過剰につくられる病気です。女性の患者さんの数は、男性と比べて約4倍であることから、女性に多い病気と言えます。
全身の代謝が亢進する病気
甲状腺は、頸(けい)部にある蝶の形をした臓器です。ここから産生されるホルモンには、全身の臓器に作用し、新陳代謝を活発にする働きがあります。
バセドウ病では、自己抗体による甲状腺の刺激によってホルモンが過剰に分泌されます。(本来“抗体”は、細菌など体外からの侵入物に対して作られますが、甲状腺に対して作られてしまう原因は解明されていません)
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、新陳代謝が異常に活発になり、無駄なエネルギーが消費されてしまいます。バセドウ病にみられる発汗や動悸、疲れやすさなどはこのためです。
更年期障害と紛らわしいことも
バセドウ病の発症で最も多い年代が20-30代。次いで多いのは40-50代、つまり更年期です。バセドウ病は表面的な症状が更年期障害とよく似ているため鑑別には注意が必要です。
ほてりや発汗過多、動悸、疲れやすさなど、更年期障害でよくみられる症状の背後に、バセドウ病が隠れていることがあります。バセドウ病の症状として眼球突出が有名ですが、実際に出現する患者さんは10人に2-3人です。眼球突出が無いからといって油断はできません。気になる症状がある場合はかかりつけ医にご相談ください。