兵庫医科大学 冠疾患内科の石原 正治です。全身に血液を送り出す心臓にひとたび異変が生じれば、突然死につながりかねません。今回のコラムでは、そんな心臓の病気「心筋梗塞」についてわかりやすく解説します。
「心筋梗塞」って、どんな病気?
心臓に血液を供給する冠動脈に動脈硬化が進んで詰まってしまうと血液が送られなくなり、心臓の筋肉が壊死する。これが「心筋梗塞」です。強い胸の痛みや圧迫感が30分以上続くのが特徴で、息苦しさや冷や汗、吐き気、左肩や首、背中、アゴや歯に痛みを感じることもあります。また、運動した時などに胸痛が出て、休むと数分後には治まる場合は、狭心症の疑いがあります。これは、冠動脈が動脈硬化で狭くなってはいるものの完全に詰まってはいない状態。放っておくと「心筋梗塞」を生じる危険性がありますので、早めに専門医を受診しましょう。
若いからといっても油断は禁物!
「心筋梗塞」の年間死亡者数は全国で約4万人。狭心症も含めると、心疾患は日本人の三大死因の1つです。危険因子はタバコはじめ、高血圧や糖尿病、脂質異常症などさまざま。30~40歳代で心筋梗塞を起こす人もいるので、若いからといっても油断は禁物です。
胸の痛みが15分以上続いたら、躊躇せず救急車を!
「心筋梗塞」を発症したら、できる限り早く再開通することが重要です。理想的には発症後2時間以内。カテーテルを用いて詰まった冠動脈を拡げる血管内治療を行います。最近は手首の血管から挿入できるカテーテルもあり、患者さんの負担も軽くなってきました。兵庫医科大学では急性医療総合センターに夜間・休日も複数の専門医が待機して緊急治療に対応しています。また再発を防ぐことも重要で、さまざまな診療科とも連携しながら生活習慣の改善などにも努めています。